近年、共働き夫婦が増えたことを背景に、親世帯と子世帯で暮らす二世帯住宅を建てる人が増えています。さらに高齢者の長寿化が進んだことで、そこに祖父母世帯が加わった三世帯住宅も注目されるようになりました。二世帯住宅は暮らし方として定着しているものの、三世帯住宅ともなると生活するイメージが湧きにくいのではないでしょうか。
この記事では、三世帯で暮らす家の新築を検討している人向けに、三世帯の組み合わせ別におすすめの間取りプランを紹介します。三世帯住宅を建てる際の注意点も解説するので、この記事を読み、三世帯住宅で暮らすイメージを膨らませましょう。
三世帯住宅とは
三世帯住宅とは、3家族が一つの屋根の下で同居するための住まいを指し、近年、増加傾向にある住居タイプです。必ずしも血縁関係がある人同士が暮らすとは限らず、たとえば夫婦それぞれの親世帯と子世帯の三世帯が一緒に住むパターンもあります。二世帯住宅も含め、複数の世帯が同じ家で暮らすスタイルは「多世帯住宅」と呼ばれており、主に以下の4タイプあります。
【完全分離タイプ】各フロアを1世帯が専有するタイプ。玄関や水回り設備を世帯ごとに設置するためコストは高くなるが、プライバシーは守られる。
【一部共用タイプ】玄関だけ、キッチンだけというように、設備の一部を共用するタイプ。プライバシーは守られにくいが、水回りを共用すると生活コストを下げられる。費用負担の割合について話し合いが必要。
【共用タイプ】各世帯の寝室以外のすべてを共用するタイプ。世帯間の価値観が異なると暮らしにくさを感じやすいが、建築費や生活費を抑えられる。
多世帯住宅としてイメージしやすい二世帯住宅は、一般的に親世帯と子世帯が暮らしますが、三世帯住宅の組み合わせは多種多様です。
三世帯住宅が増えている背景は、生活スタイルの多様化に加え、国が施策を進めている点も大きいといえます。日本国内では少子化が大きな社会問題となっていますが、国ではその一因を子育て中の親世帯の負担感や孤立感が大きいためと捉えています。そこで、大家族かつ世代間で支え合うライフスタイルを選択肢として広げるため、三世代同居・近居をしやすい環境づくりを推進しています。
三世帯住宅の組み合わせパターン
三世帯住宅の組み合わせは、以下のようにさまざまあります。家族の状況や自分たちのライフスタイルを思い浮かべながら、どの組み合わせが適しているのか考えてみましょう。
【祖父母世帯+親世帯+子世帯】
祖父母から孫までの三世代住宅は、老老介護を避けることができ、子育てのサポートもしてもらえるなど、家族みんなでお互いを支え合うライフスタイルです。共用スペースを設けるとコミュニケーションが活発になり、協力体制を構築しやすくなるので、共用タイプや一部供用タイプが適しています。3階建てにするならホームエレベーターを設置すると、祖父母世帯の屋内移動もスムーズです。
【親世帯+子世帯+子世帯】
兄弟姉妹がいる場合は、親世帯と兄・姉家族、弟・妹家族の三世帯で暮らすパターンもあります。親世帯の介護を子世帯が協力して行ったり、お互いの子どもたちを一緒に遊ばせたりできる点がメリットです。ただし、それぞれの配偶者はまったくの他人となるのでプライバシーに配慮する必要があります。世帯ごとのライフスタイルを妨げないためにも、完全分離タイプを中心に検討するとよいでしょう。
【夫の親世帯+妻の親世帯+子世帯】
夫婦それぞれの親世帯と同居する組み合わせは、一人っ子同士が結婚した際に生じやすい「将来的にどっちの親と同居するべきか」という悩みを解決できます。たとえば、片方の親は介護が必要、もう片方の親は元気で孫の面倒を見たいというケースでは、お互いの親世帯を呼び寄せて一緒に暮らすのもよい方法です。共用型と分離型のどちらにするかは親世帯のライフスタイルも考慮し、それぞれから意見を聞いたうえで決めることをおすすめします。
【親世帯+叔父・叔母世帯+子世帯】
親世帯の兄弟・姉妹の家族と暮らす組み合わせは、血縁関係とはいえ親子ではないため、特に子世帯の配偶者は義父母以上に気を使う場面が増えます。また、叔父・叔母家族のプライバシーに配慮する観点からも、基本的には建物分離タイプを軸に検討しましょう。
【組み合わせ別】三世帯住宅の間取りタイプ
ここでは、三世帯住宅の間取りタイプを4つ紹介します。
祖父母世帯+親世帯+子世帯なら一部共用タイプ
一部共用タイプは、家族間のコミュニケーションが図りやすく、リビングなどを共有スペースにすることでにぎやかに暮らせます。祖父母世帯の介護が必要になった場合は、完全分離型は一度外に出る手間がかかるものの、玄関を共有していれば家の中で行き来が可能です。
また、共用するスペースや設備が多くなるほど建築コストが抑えられるメリットもあります。玄関や階段は三世帯で共用、浴室と洗面所、キッチンは祖父母世帯と親世帯が共用するなど、家族に合わせた間取りにできるのも魅力です。ちなみに、3階建てにして1階は祖父母世帯、2階は親世帯、3階は子世帯にすると、面積が狭い土地でも建築可能です。
親世帯+子世帯+子世帯なら完全分離タイプ
兄弟姉妹の配偶者同士は他人になるため、完全分離タイプでしっかりプライバシーを守ることが暮らしやすさをアップさせる秘訣です。ただし、完全分離タイプにすると玄関も別になるのが一般的ですから、親の介護が必要な場面では外に一度出てから親世帯に向かわなければなりません。
1日のうちに何度も介護や介助をすることを考えると、屋内でスムーズに移動できるように内扉の設置を検討するとよいでしょう。内側からカギをかけられる内扉ならプライバシーも守られます。とはいえ、カギ付きの扉は相手に快く思われないケースもあるので、間取り決めの段階で三世帯が納得している必要があります。
夫の親世帯+妻の親世帯+子世帯なら一部共用タイプ
転倒やケガを防ぐため、双方の親世帯は1階がベターです。2階には子世帯の生活スペースを設け、何かあったらすぐに行き来できるよう内階段を設けておくと安心です。もしくは玄関と階段のみを共用し、3階建てでホームエレベーターを設置してフロアごとに世帯を分ける方法もあります。
ただし、1階にいる親世帯には2階の生活音が気になりやすい点がデメリットです。生活リズムが同じ場合は問題ないものの、まったく違う場合はストレスに感じるでしょう。普段からコミュニケーションをとって良好な関係性が図れるよう、中庭や屋上テラスなどの共有スペースを充実させるのもおすすめです。
親世帯+叔父・叔母世帯+子世帯なら建物分離タイプ
このタイプでは、プライバシーに配慮する観点から、完全分離タイプまたは建物分離タイプがおすすめです。完全分離タイプにするなら、転倒やケガを防ぐため、親世帯と叔父・叔母世帯は1階に配置します。子世帯は2階フロアを生活スペースにし、内階段を設置して何かあったらすぐ駆け付けられるような間取りにするとよいでしょう。
建物分離タイプは、広い敷地面積を確保できる人に向いています。たとえば、同じ敷地に3棟建てられるスペースがあると、夫の親、妻の母親+叔母、子どもたちといった組み合わせでも適度な距離感を保ちながら暮らせます。
子世帯は2階建てを建築し、親、叔父・叔母世帯は平屋をそれぞれ建築するか、1棟を建てて完全分離タイプまたは一部共用タイプの間取りにする方法もよいでしょう。建物分離タイプにすると建築コストが高くなるものの、世帯ごとの費用が明確になるため、家族の人数やライフスタイルが異なるケースに向いています。
三世帯住宅における間取りプランのポイント
三世帯住宅の間取りプランは複数あるため、どれが自分たちの暮らしに合っているか悩んでしまう人も多いでしょう。そこで、三世帯住宅の間取りを考える際のポイントを解説します。
お互いのプライバシーを重視したいなら完全分離型を検討する
世帯ごとに完全に分離されたタイプなら、遠すぎず近すぎずの距離感でお互いに干渉し合うことなく暮らせます。掃除のやり方や水回りの使い方が違ったり、生活サイクルが異なったりしても問題ありません。一方で、子育てのサポートを受けられたり、親を見守りやすかったりするメリットもあります。光熱費などの費用も明確になり、もめ事が少ない暮らしを実現しやすいでしょう。
共有スペースの確保で程よい距離感を保つ工夫をする
三世帯が円満に暮らすには程よい距離感を保ちつつ、適切なコミュニケーションをとることが大切です。共有スペースがない、少ないとコミュニケーションが薄くなりやすいため、できれば中庭などの共有スペースをつくりましょう。
中庭は各世帯が集まりやすく、緩衝地帯となって程よい距離感を保つスペースとして役立ちます。中庭を設置する余裕がない場合は、3階建てにして屋上テラスを共有スペースにする方法もおすすめです。その際は各世帯の居住スペースを経由せずにたどり着ける動線にすると行き来しやすくなります。
生活リズムが異なる場合は防音対策をしっかり行う
上下分離型の三世帯住宅で、たとえば1階を祖父母世帯と親世帯が暮らす間取りにすると、2階の子世帯と生活リズムが異なることで1階に足音などが響いてしまい、お互いストレスを感じる要因になります。特に寝室の上にリビングなど、音が出やすいスペースを設置しないように気を配りましょう。間取りの面からどうしても配置が難しい場合は、床や天井に防音対策を施すなどの工夫が必要です。
快適な距離感を実現させる多世帯住宅をトヨタホームで叶えよう
三世帯といっても空間や設備の使い方はさまざまで、家族構成や暮らし方によって間取りプランの内容も変わります。全員の希望を満たす住まいにするのは難しいものの、じっくりと話し合って理想の形に近づけましょう。
トヨタホームは家族みんなが気兼ねなく、ずっと長く快適に暮らせるプランを用意しています。気になる方はカタログ請求を、実際に相談したい方はお近くの展示場でお確かめください。
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