「屋根付き駐車スペースが欲しい」「土地が狭いけど1階にも庭が欲しい」などのニーズから、「ピロティ構造」での一戸建て建築を検討している人も少なくありません。ピロティ構造は、1階部分は柱のみで開放的な空間ができるため、デザイン性が高く感じられる住宅タイプです。しかし1階部分が柱のみの構造は、壁が減ることで耐震性が低下するなどの懸念もあり、取り入れるべきかはしっかり検討したいところです。
そこでこの記事では、ピロティ構造の戸建て住宅を検討している人に向けて、ピロティ構造の耐震性をはじめ、取り入れるメリット・デメリットを解説します。ピロティ構造を取り入れる際に注意すべきポイントをまとめているので、ぜひ参考にしてください。
ピロティ構造とは?
ピロティ構造とは、1階部分が壁によって囲われず柱だけで構成された吹き抜けの空間になっている構造のことです。高床式建築をイメージすると分かりやすいでしょう。そもそもピロティとは、フランス語で「杭」を意味する言葉で、フランスの世界的な建築家であるル・コルビュジェが提唱した近代建築の5原則のひとつです。
日本国内でも、ピロティ構造を採用した建築物は一般的に普及しています。たとえば、マンションや会社の事務所では、1階部分を駐車スペースにして2階を事務所、または居住スペースにしている建物をよく見かけます。戸建住宅においても、駐車スペースが確保しづらい場合など、ピロティ構造を採用して1階を駐車スペースにするケースが少なくありません。
ピロティ構造は一般的に耐震性が低いといわれる理由とは?
ピロティ構造は工法によっては耐震性が低いといわれていますが、その理由は1階部分が他の階に比べて耐震壁が少ないためです。実際に、過去の大震災では倒壊したピロティ構造の建物が少なくありませんでした。前述したように、ピロティ構造は基本的に1階部分に壁を使わずに柱だけで構成します。壁をつくる場合でも極端に少なくなるため、地震力が建物の一部に集中しやすく、建物が倒壊する可能性が高くなります。
地震力とは、地震が起こったときに建物が地震動の方向と逆方向に受ける慣性力のことで、建物が地震力に抵抗するには、耐震壁を規定量設置しなければなりません。耐震壁をたくさん設置するほど剛性や強度が上がり、地震に強い建物になります。
とはいえ、重要なのはバランスです。耐震壁を配置する際は、平面上は建物の四方位置に、立面上はフロアごとに量や位置を検討する必要があります。フロアごとのバランスが悪くなると、剛性や強度が低い階に地震力が集中してしまい、倒壊するリスクが高くなります。ただし、構造体を耐震性が高い鉄骨やコンクリートを使用したり柱そのものを太くしたりして、耐震性を高めることは可能です。
耐震構造は地震に強い?メリット・デメリット、制震・免震との違いも解説▶
注文住宅を制震構造にするメリットは?デメリット、耐震・免震との違いも解説▶
【注文住宅】地震に強い家を建てたい!家の特徴や構造、ポイントをまとめて解説▶
ピロティ構造のデメリット
ピロティ構造には、耐震性が低下しやすいこと以外にもデメリットがあります。問題点を把握しておくと建築の可否を判断しやすく、建てる場合も注意すべきポイントが見えてくるでしょう。そこで、ピロティ構造のデメリットを解説します。
居住スペースが2階以上になり、階段の上り下りが生じる
ピロティ構造の1階部分は吹き抜け空間であるため、居住スペースは2階以上となり、家の出入りにどうしても階段を使う生活になります。一般的な住宅スタイルではないため、最初のうちは楽しさを感じる人もいるかもしれませんが、年齢を重ねるごとに階段の上り下りが億劫になる人もいるでしょう。特に高齢者や体が不自由な家族がいると、採用しにくい構造です。買い物後に大きな荷物を運び込むのにも不便ですし、使い勝手の悪さを感じやすいといえます。将来に備えてホームエレベーターを設置するなどの対策を検討する必要があるでしょう。
居住スペースを削る必要がある
ピロティ構造にすることで、1階部分の居住スペースが減ってしまう点も大きなデメリットです。2階建て住宅の場合、1階を駐車スペースや作業スペースとして使い、2階が居住スペースとなるため、広い敷地面積がなければ十分な間取りを確保することはできません。土地が狭くても、3階建てにすると広さを確保できるものの、希望する居室をすべて確保するためには工夫が必要です。また、3階建てにした場合は構造が複雑になるため、経験が豊富で技術力の高いハウスメーカーや工務店でなければ施工は難しいでしょう。
建築コストが上がる
ピロティ構造は耐震性が低くなりやすい建物ですから、耐震性を確保するために一般的な木造住宅よりも太い柱や梁を使用したり、部材の量を増やしたりするのが通常です。加えて施工の手間も増えるため建築コストが増えます。
耐震性を高めるには鉄骨造や鉄筋コンクリート造が有効とはいえ、木造に比べてコスト高になるのは避けられません。特に鉄筋コンクリート造は建築費が高いだけでなく、建物が重いため地盤改良も必要です。さらに鉄骨造や鉄筋コンクリート造、木造でも条件によっては構造計算の費用が上乗せされます。
ピロティ構造のメリット
ここまで見ると、ピロティ構造はマイナスの要素だらけと感じる人も多いかもしれません。確かにデメリットがあるのは事実ですが、ピロティ構造だからこそのメリットもあります。
デザイン性の高い外観に仕上がる
ピロティ構造の一戸建てにすると、1階部分が開放的になり、圧迫感のないすっきりとした外観デザインに仕上がります。建物が地面から浮かび上がっているように見え、スタイリッシュな印象になりやすい点もメリットです。
また、ピロティ構造の住宅はシンプルな形状になりやすく、モダンデザインとの相性がよいことも魅力的な要素です。さらに柱の配置や形状、素材の選択などに工夫を凝らすことで、建物の外観をさらに美しく演出できます。ただし外観のデザイン性は、素材の選択や周囲の環境などによっても左右されるため、じっくりと検討することが大切です。
延べ床面積に算入されない
延べ床面積とは、建物の各階の床面積を合算した面積のことで、建物の大きさを示す基準となるほか、固定資産税や容積率に影響します。国土交通省によると、ピロティは一定の条件のもとで延べ床面積に含まれないとしています。
建築物の床面積の算定にあたり、十分に外気に開放され、かつ、屋内的用途に供しないピロティについては、床面積に算入しないものとする。なお、ピロティが屋内的用途に供するか否かについては、想定される使用状況など、個々の計画内容に応じて適切に判断すること。 |
※引用:ピロティに係る建築基準法上の床面積の取扱いについて|国土交通省
「十分に外気に開放され」とは、敷地の前面道路などとピロティがつながっていて、常に人が通れる状態のことです。また「屋内的用途」とは、居住や作業、保管、格納などの用途を指しますが、自動車の車庫や自転車置き場は屋内的用途となり、延べ床面積に含まれます。逆に言えば、完全に屋外の用途となる部分については延べ床面積に参入されないため、容積率の基準が厳しい土地ほど有効です。ちなみに容積率とは、敷地面積に対する延べ床面積の割合です。建物全体の大きさを制限するために設けられているルールで、定められた容積率を超える建物を建てることはできません。
多目的スペースとして活用できる
ピロティがあると半屋外空間となり、多目的スペースとして活用できます。ピロティの主な使用目的は駐車スペースとなるケースが多いかもしれませんが、車を停めない時間帯は自由度の高い広々とした空間が生まれます。たとえば、子どもの遊び場やガーデニングの場として活用するのもおすすめです。雨の日や暑い日なども天候に関係なく過ごせるので、セカンドリビングとしての使い方もできるでしょう。
さらに、休日は友人を招いてBBQを楽しむ場としても活躍します。車用品やアウトドア用品置き場にすると、屋内の収納スペースに余裕もできる点もメリットです。1階部分の居住スペースが狭くなるとはいえ、デメリットをカバーできる可能性は高いといえます。
津波や水害に強い
ピロティ構造の家は、水害時の被害を軽減できるメリットもあります。東日本大震災では、津波によって多くの建物が流失しましたが、1階部分が柱のみのピロティ構造の建物は津波に強かったことがある調査で分かっています。ピロティ構造は、外壁がないため津波のエネルギーを逃がしやすく、被害を抑えやすいつくりなのです。
水害に強い家にするには、土地のかさ上げや防水性の高い塀で囲む方法があります。しかし、コストが高くなったり、効果が限定的だったりするなど、ピロティ構造と比べて大きなメリットがあるとはいえません。ピロティ構造が工法によっては地震力に弱いのは事実とはいえ、津波の被害を押さえやすいという要素は、沿岸部で暮らす人にとって大きなメリットになるでしょう。
引用:朝日新聞_「ピロティ住宅」津波に耐えた 1階は柱、波の力受けず(2011年8月29日8時47分)
外からの視線が気にならない
ピロティ構造の家は必然的に2階リビングになるため、外からの視線が気にならないメリットもあります。住宅建築において、プライバシー性の高さを気にする人は多いでしょう。一般的な住宅街では周辺の土地の高さが同じになるので、窓の高さや位置を工夫したり、外構の植栽や塀で目隠しをしたりと頭を悩ませがちです。視線を遮るために1日中カーテンを引きっぱなしにしている住宅もあるでしょう。その点、ピロティ構造は特別な対策をしなくても隣家の視線が気にならなくなり、快適性が高まります。
トヨタホーム独自の鉄骨ラーメンユニット構造でつくる「ピロティ」で敷地と空間を最大限に活用!
ピロティ構造は工法によっては耐震性が低いといわれており、住宅に向かないと考えられがちです。確かにデメリットとなる部分はあるものの、津波や水害に強く、デザイン性やプライバシー性が高いなどメリットもたくさんあります。ただし耐震性を高めるには、技術力の高いハウスメーカー選びが大切です。
トヨタホームでは、独自の「鉄骨ラーメンユニット構造」により高い耐久性と耐震性を実現しています。業界トップクラスの太い柱、接合部を強固につなぐ剛接合技術によって高品質の鉄骨造住宅を提供、トヨタホームなら都市の限られた敷地を有効に活用してピロティガレージを設けたプランなど多数提案できる点も強みです。トヨタホームの住まいが気になる方はカタログの請求、またはお近くの展示場でお確かめください。
トヨタホームの「災害にいちばん強い家を。」について詳しくはこちら▶
下記についても考慮しておきましょう。
災害時は停電の可能性大!電気の確保に必要な道具や活用方法を紹介▶
災害時の電源確保に!蓄電池の選び方や効率的な使用方法を解説▶
普段から美味しく食べれて、保存食に最適!災害時に役立つ缶詰の選び方やストックのポイントを解説▶
備えあれば憂いなし!災害時に水はどれくらい必要?備蓄の目安や節水・調達のポイントを解説▶
大地震が起きたら「避難所」と思っていませんか?自宅を安全な避難所に!在宅避難に備えたいおうち防災グッズ10選!▶
【全国のトヨタホーム展示場を探す】
https://www.toyotahome.co.jp/kyoten/?ad_cd=hometag
【カタログ請求はこちら】