縦方向に空間を緩やかにつなげて床面積を増やせることから、注文住宅に「スキップフロア」を取り入れる人が増えています。スキップフロアはもちろん、スキップフロアの下部は収納スペースとして活用できるため、敷地面積に限りがある狭小住宅や平屋におすすめです。
この記事では、スキップフロアを収納スペースとして使いたい人向けに、おすすめの設置場所や活用方法について解説します。スキップフロアのメリット・デメリットを知り、自分たちに合った使い道を発見するためにお役立てください。
スキップフロアとは?
スキップフロアとは、建物の床の高さをずらして各階の中間に設置する空間やスペースのことです。ステップフロアとも呼ばれており、縦の広がりを考慮して間取りを設計し、部屋同士を仕切る壁を極力使わないつくりになっています。
一般的に注文住宅で採用されることが多く、建売住宅にはない個性的な間取りを実現できる点が魅力です。たとえば階段の踊り場に広いスペースを設けたり、リビング内でフロアに段差をつくったり、平屋の屋根裏を活用したりするなど、ライフスタイルに合わせて柔軟に設計できます。
土地の敷地面積が狭く必要な床面積の確保が難しい場所でも、スキップフロアを採用すると快適な住まいにすることが可能です。ただしスキップフロアのある家づくりは、構造計算が複雑になりやすいので、実績が豊富にあるハウスメーカーを選ぶようにしましょう。
▼階段の途中につくる「スキップフロア」の使い方は?設置する際の注意点も解説について詳しくはこちら
スキップフロアのメリット
注文住宅を建てる際、間取りの取り決めで悩む人は多いでしょう。特に居住スペースと収納スペースのバランスで悩みがちですが、実はスキップフロアを採用すると解決しやすくなります。ここでは、収納スペースとしても活躍するスキップフロアのメリットを解説します。
延床面積を増やすことができ、収納スペースとしても使える
延床面積とは、建物の全ての階の床面積を合計した面積のことです。延床面積は土地の用途によって定められている容積率によって上限があり、住宅地では60〜200%前後が多くなっています。たとえば土地の敷地面積が100坪であれば、容積率60%で60坪、容積率200%で200坪といった具合に延床面積の上限が設けられており、規定の数値を超える設計はできません。
しかし、スキップフロアは以下のような特定の条件を満たすと、延床面積に算入されないため、容積率が厳しい土地に家を建てる際にかなり有効です。
①天井高さが1.4m以下であること
②階に算入されない空間の面積を合算した際、設置する階の床面積の1/2以下に収まること
このうち特に問題となるのは天井高です。天井高が1.4m以内となれば、子どもの秘密基地やキッズスペースには適しているものの、居室としては使いにくいでしょう。そこで提案したいのが、スキップフロアによって生まれた段差を収納スペースとして活用する方法です。段差が大きくなれば、その分だけ収納スペースを広く取ることができます。
狭い空間でも広がりが生まれる
スキップフロアは、壁ではなく床の高さの違いで空間をゆるやかに仕切ります。空間を区切る壁や廊下などが必要ないため、空間全体が開放的になる点がメリットです。視界を遮る壁部分が多いと空間が狭く感じられますが、スキップフロアがあると圧迫感がやわらぎ、狭小住宅でも広がりのある空間を確保できます。
家族の気配を感じやすくなる
壁で仕切らず開放的な空間が生まれるスキップフロアは、家の中のどこにいても家族の気配を感じやすくなります。たとえば、中二階(1.5階)にキッズスペースやスタディールームをつくれば、キッチンで料理している際も目線が同じになり、見守りながら作業できます。
またスキップフロアにつくったキッズスペースは、子どものおもちゃ置き場にも最適です。子どもがリビングで遊ぶとおもちゃなどで散らかりがちですが、スキップフロアを子ども専用の遊び場にすると散らかる心配が少なくなります。
単調な空間に動きが生まれる
大空間LDKのある家は人気があるものの、平面につながる空間のため単調な印象に見えてしまいます。このような場合、スキップフロアを取り入れることで1つの空間に奥行きや高さができて立体感が生まれます。他にはない個性的な空間で暮らしたい人、遊び心のある間取りを希望する人こそスキップフロアの採用がおすすめです。
▼スキップフロアで後悔しないために!メリットを生かしたスペースづくりをについて詳しくはこちら
スキップフロアのデメリット
魅力的な要素の多いスキップフロアですが、デメリットとなる要素も含んでいます。そこで、スキップフロアのデメリットと対策を解説します。
バリアフリーにならない
スキップフロアは段差のある間取りになるため、バリアフリーの暮らしはできません。特に平屋に設置する場合はバリアフリーのメリットを享受できず、家族に高齢者がいると転倒リスクへの配慮も必要です。
ただしスキップフロアによって生じた段差は、楽に立ち上がるメリットもあります。たとえばリビングに小上がりタイプの和室を併設すると、段差を腰掛け代わりに使えるため、足腰への負担を軽減できるでしょう。小上がりの床下はリビング収納としても活用できます。
階段部分の掃除に手間取る
スキップフロアのある家は段差が多いため、掃除に手間取る場面が多くなる点もデメリットの1つです。家事の効率化に有効なロボット掃除機も、段差が多いと活躍できません。とはいえ、掃除をしなければゴミが溜まる一方でしょう。
冷暖房効率が下がる
縦の空間を有効活用するスキップフロアは魅力的な一方、空調効率が下がるデメリットがあります。温かい空気は上昇し、冷たい空気は下に流れる性質があるので、高低差による温度の違いが生まれ、快適性に欠けるかもしれません。
解消するためには全館空調システムの導入がおすすめです。トヨタホームの全館空調システム「スマート・エアーズ」は、家中の空気を24時間快適な温度に保ちます。壁付きエアコンが不要のため、デザイン性の高い住まいにしたい人にもおすすめです。
トヨタホームの全館空調「スマートエアーズ」の詳細を知りたい方は、こちらのリンクもぜひチェックしてみてください。
音やニオイが家中に広がりやすい
スキップフロアは間仕切りがなく開放的な空間をつくる一方で、設置する場所によっては音やニオイが遮れないデメリットがあります。家族とのコミュニケーションが取りやすいとはいえ、音やニオイが気になって勉強や仕事に集中できないケースもあるかもしれません。
スキップフロアの導入については、開放感に特化するのではなく、音やニオイも含めたプライバシーの確保も考慮しましょう。ニオイの問題については、全館空調システムの導入によって解消できるので、併せて検討することをおすすめします。
スキップフロアを応用した収納スペース!おすすめの設置場所は?
スキップフロアは収納スペースとしても活躍しますが、用途によって適した設置場所が異なります。そこで、おすすめの設置場所について解説します。
リビングの一角
スキップフロアの下を収納スペースとする場合、天井高を1.4m以内に抑えることで延床面積の計算から除外されるので、リビング収納として有効活用できます。そのため、スキップフロアを収納目的で使いたい人は、リビングやダイニングとつながった一角に段差を設けるのがおすすめです。たとえば、ピットリビングやダウンフロアのように、1段下がったスキップフロアにすれば、直射日光が当たりにくいため食料保存庫としても使えます。
収納スペース以外で活用したい場合は、天井高をしっかり確保するとセカンドリビングとして活用できるほか、ヨガやピラティスなど趣味のスペース、子どもの遊び場などの使い方が可能です。本棚の設置場所や書斎にも活用できます。
階段
階段の踊り場を拡張して中二階(1階と2階の中間)とすることで、小スペースながらスキップフロアが完成します。階段に沿って棚を設置すれば本棚にもなり、階段をイス代わりにして読書をすることも可能です。
階段の踊り場をスタディーコーナーにすると、リビングとの距離が生まれて集中しやすいメリットもあります。踊り場の面積を確保できない場合は、吹き抜けを採用すると圧迫感のない空間になるでしょう。さらに踊り場を拡張してスキップフロアをつくれば、階段下を活用して収納スペースにすることができます。
平屋の屋根裏
2階部分がなく高さが限られた平屋でも、アイデア次第で十分な収納の確保が可能です。たとえば勾配天井にして天井を高くすると空間が生まれます。その部分にスキップフロアを設置すると、広い収納スペースが確保できます。また、ダイニングスペースの床を上げてスキップフロアにした場合、スキップフロア下を収納として活用することも可能です。
大容量の収納スペースが設置できる!トヨタホームのエスパシオシリーズ
スキップフロアを採用すると、収納力が高く開放的な住まいにすることができます。ただしバリアフリーにすることはできず、冷暖房効率が悪いなどのデメリットもあるので、専門知識があり対応力の高いハウスメーカーへの依頼が必要です。
トヨタホームのエスパシオシリーズは、スキップフロアとの相性がよく、都市部や狭小住宅でも理想の暮らしが手に入ります。中二階を設けて、その下にインナーガレージをつくったり、階層間のスペースを有効活用して収納力たっぷりのスペースを確保できたりするなど、柔軟なプラン対応力が特徴です。
鉄にこだわり、軸組工法を進化させたトヨタホーム独自の「EST工法」は、災害への強さとお客様が望む快適な暮らしを実現できます。気になる方はカタログ請求もしくはお近くの展示場でご確認ください。
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