平屋や2階リビングであっても、広がりのある空間を作りたいと考えている人も多いのではないでしょうか。吹き抜けや高天井を設けると縦方向に空間が広がって圧迫感がなくなり、より明るく開放的な空間を演出できます。
空間に開放感をプラスする点では共通する「吹き抜け」と「高天井」ですが、両者にはどのような違いがあるのでしょうか。
この記事では、空間に縦の広がりを持たせて開放的な空間づくりをしたい人向けに、吹き抜けと高天井の違いや高天井のメリット・デメリットを解説します。この記事を読めば両者の違いが明確になるとともに、開放的な注文住宅づくりに必要な要素がつかめるでしょう。
なお、以下の記事では平屋の注文住宅において吹き抜けを取り入れるメリット・デメリットを解説しています。併せてご覧ください。
平屋でも吹き抜けがおすすめ!勾配天井でより開放的な空間にしよう
吹き抜けと高天井の違い
吹き抜けと高天井はどちらも部屋に開放的な空間をつくる際に取り入れられるものであり、設置する目的は似ています。一方で、間取りの点では大きな違いがあります。まずは、吹き抜けと高天井にはどのような違いがあるのか詳しく見ていきましょう。
吹き抜けとは、複数階をつなぐ空間のこと
吹き抜けとは、上下階分のスペースが縦方向につながっている空間のことをいいます。住宅でよく見られるのが2階部分に床を設けず、1階と2階を一体的なスペースとして使うケースです。このように2つの階にわたって設けられる吹き抜けを「2層吹き抜け」といい、1〜3階まで連続する「3層吹き抜け」もあります。
上下階の空間をつなげることで天井が高くなり、視界が上に抜けて広く感じやすくなるのがメリットです。さらに吹き抜け部分の天井や壁に窓を設置すれば、高い位置からの採光が可能です。間取りや敷地形状の関係で1階が暗くなりやすい家でも、1階部分まで自然光が届くようになり、明るく開放的な空間を演出できます。
高天井とは、フロアの天井を上げること
対する高天井とは、各階層の天井自体の高さを変えることです。「ハイスタッド」とも呼ばれます。上で解説したように吹き抜けは天井の高さを変えているわけではなく、上下階を空間的につなげる方法です。そのため、そもそも1階しかない平屋では吹き抜けがつくれません。
平屋でも高天井にすれば、通常より1.5倍程度天井を高くできます。どうしても空間の広がりを感じにくい平屋でも、吹き抜けのような開放的な空間を実現できるでしょう。一般的に高天井を取り入れた場合の天井の高さは3m以上といわれており、吹き抜けと同様、高い位置に窓を設置すると部屋の明るさを確保できます。
ちなみに、高天井は平屋だけでなく2階建て以上の家に取り入れても有効です。2階リビングを高天井にすれば、上階であっても開放的な空間にできます。
平均的な天井の高さとは?
吹き抜けや高天井を取り入れると3m以上の天井高も実現可能ですが、住宅の平均的な天井の高さはどれくらいなのでしょうか。
建築基準法施行令において「天井高が2.1m以上あれば居室として使用できる」と規定されています。要するに、居室の天井高は2.1m以上なければならないということです。
(居室の天井の高さ)
第二十一条 居室の天井の高さは、二・一メートル以上でなければならない。
規定は上記のとおりですが2.1mというのは最低限の高さであり、住宅における天井高は2.4mを基準とするのが一般的です。戸建て住宅の場合は建物全体の高さによって異なりますが、1階を2.4m・2階を2.2mとするケースが多くなっています。
1階と2階で高さが異なるのは、天井高によって部屋の印象が変わるからです。天井が高いと開放的な印象になり、反対に天井が低いとプライベート感が強くなります。1階にリビングダイニング、2階に個室を設置するパターンが多いので1階の天井を高め・2階の天井を低めにするケースが多いと考えられるでしょう。
リビングをはじめとする人が多く集まる空間は、開放的な印象を与えるために他の居室よりも天井を少し高くする事例も多くあります。
天井高が3m程度あると天井が視界に入らなくなり圧迫感がなくなるため、3〜4m程度の高天井で注文住宅を建てる人も増えています。とりわけ平面的な広さに制限があり、どうしても狭さを感じやすい狭小住宅で人気です。
高天井にするメリット
狭小住宅や平屋で人気の高天井にはどのようなメリットがあるのでしょうか。それぞれ詳しく見ていきましょう。
圧迫感が薄れて部屋に開放感が生まれる
天井を高くする最大のメリットは、先ほどから紹介しているとおり、部屋に開放感が生まれることです。天井を高くすると天井が視界に入らなくなるため、視覚的な圧迫感がなくなります。反対に視界中の壁の面積は広がるので、縦方向の空間の広がりをより強く感じられるでしょう。
リビングダイニングや玄関など、開放感が求められる空間には高天井がマッチします。
高い角度から採光が確保できる
天井が高くなることで、通常の部屋の窓では取り込めない高い角度からの採光も可能となります。高い部分の壁に窓を設ければ、そこから入った自然光が部屋の奥まで広範囲に届き、部屋全体が明るい印象になるでしょう。
高い位置の窓は、外からの視線を気にする必要がない点もメリットです。カーテンやブラインドを開けておいてもプライバシーを確保できるため、室内に効率よく自然光を取り込めます。
空間デザインの幅が広がる
高天井を取り入れることで、通常の部屋に比べて空間デザインの幅が広がるのもメリットです。例えば、構造上必要不可欠な梁をあえて見せたり装飾用の梁を新たに設置したりする、天井におしゃれなシーリングファンを設置する、照明にこだわるといったアイデアが考えられるでしょう。
通常の部屋では難しいようなアクセントを加えることで、部屋のデザイン性を高められるのが高天井の魅力でもあります。
勾配天井にすればさらに屋根裏スペースが活用できる
高天井にプラスして勾配天井にすれば、よりいっそう高さのある空間になります。勾配天井とは、屋根の勾配をそのまま生かして斜めにした天井のことです。通常の天井と屋根の間のスペースも居室空間として活用できるため、縦に広がりのある空間を演出できます。
高天井と勾配天井を組み合わせると高くなった部分に屋根裏スペースを確保することが可能となり、ロフトや屋根裏収納としてスペースを有効活用できます。他に勾配天井の高くなっている部分を利用して、一段上がったスキップフロアを設けるのもおすすめです。
高天井にするデメリット
開放感を演出できるなど魅力が満載の高天井ですが、取り入れる際にはデメリットもあります。家づくりで後悔しないためにも、メリットとデメリットの両面を比較して導入可否を判断するようにしましょう。
冷暖房効率が下がる
高天井のデメリットとして最初に挙げられるのが、室内の冷暖房効率が下がることです。
暖かな空気は冷たい空気に比べて軽いため、暖かな空気は上方、冷たい空気は下方に溜まりやすいことが知られています。高天井では吹き抜けと同様に空間が縦に広がるため、この性質による影響がより大きくなります。特に冬場は暖めた空気が上がっていってしまうので、暖房の効きが悪くなりがちです。
冷暖房効率を改善するには高気密・高断熱の家づくりをするとともに、シーリングファンを設置する、室内を一定の温度に保つ全館空調を導入するといった対策がおすすめです。
建築費用がかかる
高天井を取り入れると、通常の天井高の家に比べて建築費用が上がりやすいのもデメリットです。
天井を高くした分、使う建材や必要な作業が増えるので建材費・作業費などが上がります。さらに高い場所に窓を設置したり、窓のサイズを大きくしたりすれば、別途費用がかかることもあるので要注意です。
吹き抜けや高天井のある住まいの間取り実例を紹介!
以下では、トヨタホームが手がけた注文住宅の中から「吹き抜け」と「高天井のある住まい」の実例を紹介します。吹き抜けや高天井を取り入れることで暮らしがどうなるのかイメージしながらご覧ください。
吹き抜け:吹き抜けと大空間で叶える、ホテルライクな暮らしを実現した間取り
最初にご紹介するのは、「特別感のあるホテルライクな暮らし」をテーマに、細かな部材にまでこだわった事例です。
白を基調とした開放感ある空間に、スケルトン階段が存在感を放っています。2階を最低限にし、吹き抜けに大空間を使いました。大きな高窓から光がたっぷり差し込み、一日中明るいLDKにし、階段正面側には光を通すブラインドカーテンを採用したことで、朝も光が入ってきて心地よい点もお気に入りです。
吹き抜け:大空間の吹き抜けリビングで、心地よい時間を満喫できる間取り
続いて、大空間の吹き抜けリビングで、心地よい時間を満喫できる事例です。
一目惚れしたモデルハウスの吹抜けリビングを、天然石のタイルの貼り方まで再現。南側の大開口からは自然光がたっぷり差し込みます。「キッチンから夕陽が見えるように」と、高い位置にも窓を設置しました。
細部までこだわった分、住み心地は抜群で家の中で過ごす時間が長くなったそうです。皆様もぜひ、お近くのモデルハウスにご来場し、理想のライフスタイルを探してみてください。
高天井:ダウンリビングと天井高3mの開放感あふれる間取り
こちらは、ダウンリビングを取り入れることにより3mの高天井を実現した事例です。
ダウンリビングとは、1階の天井高をそのままにリビングをステップダウンさせることで、リビングの上部だけ自然に天井を高くした間取りのことです。ステップダウンにより開放的にしたい空間だけ天井高を上げられるため、場所の特性に合わせたゾーニングを叶えられる点が魅力です。
また、この事例のようにダイニングキッチンとリビングの空間的なつながりを保ちつつ、天井高の違いによって緩やかに仕切れるのもポイントです。高い天井と視線の先に広がる中庭により、明るく開放的なリビングを実現しました。
高天井:背の高いご主人に合わせて天井高2.6mのリビングのある間取り
続いて紹介するのは「広いリビングを実現したい」という要望に応えるため、1階全体の天井高を2.6mと高めにした事例です。高天井にすることで、高身長のご主人にとっても圧迫感のない快適な住まいとなっています。
1階は玄関ホールからリビングに至るまで一切扉がなく、全体がひとつながりになった大空間が広がります。高天井と空間の広がり、リビングとひと続きになったテラス、そして中庭の組み合わせは、部屋全体に開放感を与えてくれる間取りアイデアです。
トヨタホームの「マルチ天井高システム」で天井高・層・用途が選べる家づくりを!
開放感を演出する「吹き抜け」と「高天井」、吹き抜けは上下階をつないで一体的な空間として使うのに対し、高天井は天井自体を高くすることで縦方向の空間の広がりを実現します。高天井は平屋や2階リビングでも導入可能で、部屋に明るさと開放感をプラスできるのが大きな魅力です。
リビングや玄関など多くの人が使う空間は高天井が適していますが、プライベートな空間である個室や水回りなどは、天井が低くこもり感のある仕上げのほうが落ち着くでしょう。
トヨタホームの「マルチ天井高システム」なら、住まいへの要望に応じて柔軟に天井高を設定できます。半地下空間を生かした暮らしやスキップフロアを活用した間取りなど、天井高を巧みに利用したアイデアも豊富です。
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