住宅や土地などの不動産を所有していると、毎年課税される固定資産税。「名前は聞いたことがあるけど、固定資産税がどんな税金なのかわからない」という方も、中にはいるのではないでしょうか。今回は、マイホームの購入時に知っておきたい固定資産税の基礎知識や納税時期、押さえておきたいポイントなどをご紹介します(※この記事の内容は2022年5月執筆時点のものです)。
固定資産税とは
固定資産税とは、毎年1月1日時点で住宅やマンション、土地などの不動産を所有する人に課税される税金のことです。不動産を所有している限り、支払い続けなければなりません。
固定資産税は国に納める「国税」ではなく、住宅や土地などがある市町村(東京23区は東京都)に納める「地方税」です。納税通知書は固定資産がある市町村(東京23区は東京都)から、4月~6月にかけて届きます。
支払い回数は住んでいる自治体によって異なりますが、第1期〜第4期など4回ほどに分けられているのが一般的です。納税通知書に記載されている、各期の期日までに支払いましょう。支払方法は、現金払いや銀行口座の引き落としはもちろん、最近ではクレジットカード払い、スマートフォン決済でも対応している自治体が増えています。ただしクレジットカード払いやスマートフォン決済の場合、「納付書1枚の金額が30万円まで」といったように、納付できる税額に上限があるので気を付けましょう。
固定資産税の税額はどのようにして決まる?
固定資産税の税額は、「固定資産税評価額」を元に計算されます。
固定資産税の税額=固定資産税評価額(課税標準額)×税率(標準税率:1.4%)
このときの「固定資産税評価額」とは、固定資産課税台帳に記載された住宅や土地など不動産の評価額のこと。市区町村から送付されてくる納税通知書の、「課税明細書」に記載されています。
固定資産税評価額は3年に1度「評価替え」が実施され、次年度にそのまま引き継がれるのが原則です。しかし、著しい地価の下落があったときや、土地を分割するなど土地の区画・形質が変化したときは、評価替えとは別に固定資産税評価額が変更されます。
なお、固定資産税の税率(標準税率)は1.4%ですが、住んでいる自治体によって1.5%~1.7%など税率が異なるケースもあります。
住宅用地の特例
住宅の敷地として利用されている土地(住宅用地)には特例措置があり、以下のように固定資産税が軽減されます。
・住宅用地で200㎡以下の部分(小規模住宅用地)については固定資産評価額(課税標準額)が6分の1になる
・住宅用地で200㎡超の部分(一般住宅用地)については固定資産評価額(課税標準額)が3分の1になる
新築の特例
新築住宅の固定資産税を3年間(マンション等の場合は5年間)、2分の1に減額する特例です(適用期限令和6年3月31日)。
認定長期優良住宅に関する特例措置
一定の認定長期優良住宅を新築・取得した場合、固定資産税を5年間(マンション等の場合は7年間)、2分の1に減額する特例です(適用期限令和6年3月31日)。
固定資産税を自分で計算・シミュレーションしてみよう
固定資産税は計算式に数字を当てはめれば、自分で計算・シミュレーションすることもできます。
固定資産税の税額=固定資産税評価額(課税標準額)×税率(標準税率:1.4%)
【固定資産税の計算例】
・土地の固定資産税評価額 1,500万円
・住宅の固定資産税評価額 1,000万円
・土地は小規模住宅用地
・固定資産税の税率は1.4%
土地の固定資産税=固定資産税評価額 1,500万円×1/6(小規模住宅用地のため)×税率 1.4%=3万5,000円
住宅の固定資産税=固定資産税評価額 1,000万円×税率 1.4%=14万円
固定資産税の税額は、土地の固定資産税3万5,000円+住宅の固定資産税14万円=17万5,000円です。ただし新築の場合は、新築の特例が適用されるため以下のような計算式になります。
住宅の固定資産税=固定資産税評価額 1,000万円 × 1/2 (新築の特例)× 税率1.4%=7万円
先ほどの土地の固定資産税3万5,000円と合わせると、新築の場合は10万5,000円が固定資産税の税額となります。こちらの特例は戸建てで3年間、マンションで5年間となっているため、適用が外れる年は大幅に税額が上がるので、注意しておきましょう。
計算するときのポイント・注意点
・固定資産税評価額は、購入金額ではありません
・どんな特例が適用されるのか確認しましょう
・固定資産税の標準税率は1.4%ですが、不動産がある市区町村によって異なります
・固定資産税評価額が土地なら30万円、建物なら20万円未満であれば固定資産税は課税されません(これを免税点といいます)
固定資産税を安く抑える方法はあるの?
納める固定資産税をできれば抑えたいですよね。次のような場合には、固定資産税が安くなる可能性があるため、必要な手続きを取るようにしましょう。
特例措置には手続きが必要なものがある
固定資産税が安くなる特例措置には、事前に申告が必要なものがあるため、手続きを忘れないようにしましょう。
例)認定長期優良住宅に関する特例措置
長期優良住宅認定通知書の写しを添付して、不動産のある市区町村に申告が必要
評価額に不服があれば申し出る
固定資産税評価額が不当に高いと感じた場合、固定資産評価審査委員会に審査の申出ができます。審査の結果、評価額がふさわしくないと認められると、固定資産税評価額が修正されて、税額が安くなる可能性があります。
万一、災害にあった場合は減免の可能性も
もしも災害にあった場合、固定資産税が減免される可能性があります。その際には市区町村に問い合わせてみましょう。
支払いの方法を工夫する
固定資産税をクレジットカードで支払うと、税額に応じてポイントが付与されます。ただし税金を支払う場合、その税額に応じて決済手数料が必要になるのが一般的です。例えば東京都の場合、最初の1万円までは73円がかかり、以降1万円ごとに73円が加算される仕組みです。支払うクレジットカードのポイント還元率によっては、マイナスになってしまうこともあります。事前に市区町村のサイトで手数料を確認して、お得な方法を見つけておきましょう。
【まとめ】
固定資産税は、マイホームを持ち続けている限り払い続けなければならないものです。これからマイホームの新築・購入を検討している人は、どのくらいの固定資産税がかかるのかチェックして、無理なく支払えるようにマネープランを立てておくといいでしょう。