何十年も住み続ける家だからこそ、自分もしくは家族が年を重ねた老後も快適に過ごせる家を考えたいですよね。そこでおすすめしたいのがバリアフリー住宅です。バリアフリー住宅は高齢者や障がい者向けと思われがちですが、そうではありません。小さなお子さんからご高齢の方まで幅広い世代が安心・安全かつ快適に暮らせる優しい住まいです。この記事では、バリアフリー住宅の魅力や家づくりのポイントについて解説します。将来を見据えた快適な住まいづくりのために、ぜひ役立ててください。
バリアフリー住宅とは?
バリアフリーという言葉が世界的に発信されたのは、1974年の国連障害者生活環境専門家会議でのことでした。障がい者が社会生活を送るうえでの「障害物を取り除くこと」を意味する言葉です。バリアフリー住宅とは、段差などの障害物がなく、身体的にハンデを持つ人も暮らしやすい住宅を指します。ただし現代では、ライフステージ・性別・障害の有無にかかわらず、家族全員が快適に生活するための設備や機能、システムを備えた住宅を指すのが一般的です。
高齢化が著しい日本では、バリアフリー住宅のニーズが年々高まっています。総務省の資料によると、2018年時点で65歳以上の高齢者がいる世帯は2,253万4,000世帯。そのうちバリアフリー住宅に住んでいる世帯は、一定・高度あわせて51.2%と半数以上に上ることがわかりました。「一定」とは、2ヶ所以上の手すりの設置または段差のない屋内がある住宅を指します。また「高度」とは、2ヶ所以上の手すりの設置、段差のない屋内、車いすで通行可能な幅の廊下をすべて備えた住宅のことです。
バリアフリーとユニバーサルデザインの違いは?
バリアフリーと似た言葉にユニバーサルデザインというものがありますが、違いをご存じでしょうか?政府が発表する「障害者基本計画」では、それぞれを次のように定義しています。
■バリアフリー
障害のある人が社会生活をしていく上で障壁(バリア)となるものを除去するという意味で、もともと住宅建築用語で登場し、段差等の物理的障壁の除去をいうことが多いが、より広く障がい者の社会参加を困難にしている社会的、制度的、心理的なすべての障壁の除去という意味でも用いられる。
■ユニバーサルデザイン
バリアフリーは、障害によりもたらされるバリア(障壁)に対処するとの考え方であるのに対し、ユニバーサルデザインはあらかじめ、障害の有無、年齢、性別、人種等にかかわらず多様な人々が利用しやすいよう都市や生活環境をデザインする考え方。
引用:障害者基本計画|内閣府
トイレを例にすると、車いすが入れるだけの広さを確保し、車いすから便座へ移乗するための手すりを設けたのはバリアフリーのトイレです。対して、ベビーベッドや子ども用便器、オストメイト洗浄機器などを併設した多目的トイレは、誰でも使えるユニバーサルデザインのトイレになります。
バリアフリー住宅にする際に気を付けたいポイント
実際にバリアフリー住宅を建てるとしたら、どのようなことに気をつければよいでしょうか?いずれは誰もが高齢者になります。また、病気やケガで車いす生活になる可能性がないとは言い切れません。こうした将来的なことを踏まえ、家づくりの段階で検討したいポイントについて設備や間取り別に解説します。
リビングやダイニング
家族が集まるリビングは、段差をなくすことを徹底してください。リビングに畳コーナーをつくる場合は車いすの移動を妨げないところに配置するか、車いすから移乗しやすい高さの小上がりにするとよいでしょう。
内装や建具を選ぶ際も、車いす利用の可能性を考慮して次のような点に気をつけてください。
・床材には滑りにくく耐久性の高い素材を選ぶ
・出入り口は75cm以上の有効幅員を確保する
・段差をなくすために、敷居が不要な吊り下げタイプの引き戸を採用する
・扉にガラスを入れる場合は、割れにくい強化ガラスを採用する
なお、介護を要する人の寝室は、家族の目が届きやすい場所にあると安心です。可能であればLDKの近くにフリースペースを確保しましょう。普段は客間や子どもの遊び場になり、必要に応じて寝室として活用できます。
キッチン
車いすでも利用できるよう、キッチンスペースはなるべく広めに確保しておきましょう。回遊動線がとれるアイランドキッチンや壁付のI型キッチンがおすすめです。
その他、安全で使いやすいキッチンにするためのポイントは以下のとおりです。
・安全装置の付いたコンロやIHクッキングヒーターを採用する
・調理時に手元がしっかりと見えるように照明を明るくする
・収納は手の届く範囲の高さ(1,500mm以下)に設ける
・吊戸棚は電動で昇降するタイプを選ぶ
など
浴室や洗面脱衣所
洗面脱衣室は室内の寒暖差によるヒートショックが起きやすい場所です。家全体を一定の温度に保つ全館空調システムを導入すると、各居室で快適に過ごせるだけでなく、ヒートショック対策にもなります。
浴室の出入り口もフラットにするのがベストですが、浸水を防ぐために段差を設ける場合は2cm以下に収めるようにしてください。なお、一般的な浴槽の深さは60cm程度ですが、高齢者や体が不自由な人は浴槽のふちがまたぎづらいため、40cm程度の深さを選びましょう。
その他のポイントは以下のとおりです。
・車いすでも浴室に入れるように間口を広めにする
・開閉しやすい扉を選ぶ(引き戸、折り畳み戸など)
・浴槽をまたぐときにつかみやすい位置に手すりを設置する
・浴室の床は滑りにくいタイプを選ぶ
など
トイレ
車いすと介助者が入れるように、広めのスペースを確保してください。車いすから便座へ移乗するための手すりも欠かせません。手すりをつけておくと、ぎっくり腰になって動くのが辛いときや、妊娠中で思うように動けないときにも重宝します。見た目が気になる場合は、小物を飾れる棚を設置して手すり代わりにするとよいでしょう。
トイレをどこに配置するかも重要です。高齢になると夜中にトイレに行きたくなって目を覚ますこともあるので、なるべく寝室の近くに配置できると安心です。扉は高齢者や車いすの人にも利用しやすい引き戸を、床材には滑りにくくクッション性の高い素材を選びましょう。
玄関
完全にバリアフリー化したい場合は、玄関まわりにスロープをつくります。雨天時を想定してスロープの素材には滑りにくいものを選び、雨や雪を避ける軒を設置しましょう。玄関も車いすが出入りできるだけの十分なスペースが必要です。間口は90cm以上、扉は開閉しやすい引き戸がおすすめです。
その他にも次のようなポイントを押さえると、使いやすい玄関になります。
・スロープとは別に玄関ポーチに階段状のステップをつくる
・上がり框はできるだけ高さを抑える
・車いすの収納スペースとして土間を設ける
など
廊下や階段
一般的な住宅の廊下は幅80cm程度です。メーカーや機種によって異なりますが、車いすは70cmほどの幅があるため、幅80cmの廊下ではスムーズに通行できません。ハウスメーカーに相談するときは、有効幅(通過可能な寸法)を90cm以上確保するように伝えてください。
廊下に150cm以上の幅があれば、車いすで方向転換することや、車いすと人がすれ違うことも可能です。しかしながら、一般住宅では廊下にそれほどのスペースをとれないでしょう。そのため、寝室やリビングなど必要な空間へ向きを変えずにまっすぐ移動できるよう、間取りを工夫する必要があります。
階段は蹴上げの高さ16cm以下、踏み面の奥行きを30cm以上のサイズでつくると、上り下りが楽です。スペースに余裕があれば途中で休憩できる踊り場を設置しましょう。廊下・階段ともに床材は滑りにくい素材を選び、手すりを設置することも検討してください。廊下の手すりは必要になってからの設置でも間に合いますが、階段の手すりは新築時につけておいたほうが何かと便利です。
寝室
介護や介助が必要な人の寝室は、移動しやすいようにリビングやトイレと隣接させるのが望ましいです。ベッドを置いても介助や車いすでの移動ができる広さを確保してください。冬場のヒートショック対策には、床暖房の設置や全館空調システムの導入を検討しましょう。
その他にも、将来に備えて次のような工夫をしておくと安心です。
・出入り口の扉は引き戸にする
・足元に人感センサー搭載の照明を設置する(夜間トイレに起きたときの転倒防止)
・安全通報装置や火災報知機を設置する
など
バリアフリー住宅を建てるための費用相場
バリアフリー住宅は一般的な住宅よりも建設費が高くなる傾向にありますが、どこまで手をかけるかによって建築コストが変わります。近年はバリアフリーを標準仕様とするハウスメーカーが増えているので、複数社からプランを取り寄せて比較検討してみましょう。
なお、バリアフリー住宅は平屋で建てるのがベストですが、2階建て以上にする場合は、ホームエレベーターの設置を検討することをおすすめします。例えば、3人乗り用・2階建てタイプのホームエレベーター設置にかかる費用の相場は、工事費を含めて300万円台前半ほどです。リフォームで設置するとなると下地の補強が必要になり、大掛かりな工事になってしまうため、スペースだけでも新築時につくっておくほうが手間や時間がかかりません。さらに安全面を重視して、鉄骨造などの強度に優れた構造も検討してみてください。
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