長期優良住宅は、高い耐震性能や省エネルギー性能を持ち合わせていることから認定を受ける人が増えています。一般的な住宅に比べて資産価値が維持されやすいため、売価時も有利などメリットの多さも注目されているポイントです。
この記事では、長期優良住宅の認定を受けることのメリット・デメリットを徹底比較します。この記事を読むことで、長期優良住宅の認定を受けるべきか判断できるようになるはずです。
長期優良住宅とは?
長期優良住宅とは、長期にわたり良好な状態で使用するための措置が講じられた優良な住宅のことです。長期優良住宅の認定基準は10項目あり、それぞれについて新築および増改築の基準が定められています。ここでは新築における認定基準を紹介します。
項目 | 認定基準の考え方 |
劣化対策 | 数世代にわたり住宅の構造躯体が使用できること |
耐震性 | 極めて稀に発生する地震に対し、継続利用のための改修の容易化を図るため、損傷のレベルの低減を図ること |
維持管理・更新の容易性 | 構造躯体に比べて耐用年数が短い内装・設備について、維持管理(清掃・点検・補修・更新)を容易に行うために必要な措置が講じられていること |
省エネルギー性 | 必要な断熱性能等の省エネルギー性能が確保されていること |
可変性(共同住宅と長屋に適用) | 居住者のライフスタイルの変化等に応じて間取りの変更が可能な措置が講じられていること |
バリアフリー性(共同住宅に適用) | 将来のバリアフリー改修に対応できるよう共用廊下等に必要なスペースが確保されていること |
居住環境 | 良好な景観の形成その他の地域における居住環境の維持及び向上に配慮されたものであること |
住戸面積 | 良好な居住水準を確保するために必要な規模を有すること |
維持保全計画 | 建築時から将来を見据えて、定期的な点検・補修等に関する計画が策定されていること |
災害配慮 | 自然災害による被害の発生の防止又は軽減に配慮されたものであること |
※引用:認定制度概要パンフレット(新築・木造軸組版) |一般社団法人住宅性能評価・表示協会
上記10項目すべての要件を満たし、所管行政庁(都道府県、市区町村等)に認定申請を行えば、長期優良住宅としての認定を受けられます。
ちなみに、長期優良住宅とZEH(Net Zero Energy House[ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス])と混同している人もいるかもしれません。長期優良住宅は長く住める家にすることを目的に、上記の基準が定められています。ZEHは国内のエネルギー需給の改善を目的としており、消費エネルギーと創るエネルギーをプラスマイナス0以下にすることが認定基準です。
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長期優良住宅の認定を受けるメリット
ここでは、長期優良住宅の認定を受けることで得られるメリットについて解説します。長期優良住宅には、税金や住宅ローンの優遇、保険料の割引、補助金の交付など、さまざまなメリットがあります。
長い間、快適かつ安心な暮らしが送れる
長期優良住宅の認定基準で示す耐震性を満たせば、大規模地震の被害に遭っても家の損傷を軽減できます。将来的にリフォームを検討する際も、耐震性に注目した改修工事は少なくなるのでコストを抑えることが可能です。
また省エネ基準を満たせば高気密高断熱の家づくりとなり、外気温の影響を受けにくくなります。冷暖房効率の向上によって夏涼しく冬暖かい家で過ごすことができるうえ、電気代の節約にもつながるでしょう。さらにヒートショックなどのリスクが軽減され、高齢になっても住みやすい家づくりが可能です。
所得税、固定資産税など税金の優遇措置がある
国では、長期優良住宅を普及させるために、認定を受けた住宅は特例措置により税金が軽減されます。具体的には、一定の認定長期優良住宅の新築や、建築後使用されたことのない認定長期優良住宅を取得すると、登録免許税、不動産取得税、固定資産税、所得税の軽減措置が適用されます。内容と条件は以下のとおりです。
税目 | 内容 | 適用条件 |
登録免許税 | 【税率の引き下げ】
保存登記:0.15% → 0.1% 移転登記:0.3% → 0.1% |
2027年3月31日までに新築 |
不動産取得税 | 【課税標準からの控除額の増額】
1,200万円 → 1,300万円 |
2026年3月31日までに新築 |
固定資産税 | 【減税措置(1/2減額)適用期間の延長】
3年間 → 5年間 |
2026年3月31日までに新築 |
所得税(住宅ローン減税) | 【借入限度額の引き上げ】
控除対象借入限度額:4,500万円 子育て世帯または若者夫婦世帯の場合:5,000万円 |
2024年12月31日までに入居 |
※2024年4月時点
住宅ローン減税は、住宅ローン控除の対象住宅のなかでは最も高い金額となり、最大控除期間が13年間、控除額は455万円です。なお、既存の認定長期優良住宅を取得した場合は、所得税(住宅ローン減税)のみ軽減され、他の税目は特例措置を受けられません(特例措置の内容は改正される可能性があるので、最新の情報を参照してください)。
住宅ローンの金利優遇が受けられる
長期優良住宅に認定され、住宅ローンを借り入れすると金利の優遇が受けられる点も見逃せないメリットです。例えば、フラット35で借り入れした場合は「フラット35」Sの対象となります。「フラット35」Sとは、「フラット35」を申し込む人が長期優良住宅を取得する際に、定められた期間の借入金利が下がる制度です。
・「フラット35」S(金利Aプラン):当初5年間は年0.5%の金利引下げ
・「フラット35」S(金利Bプラン):当初5年間は年0.25%の金利引下げ |
各プランとも、対象となるためには技術基準を1つ以上満たす必要がありますが、基準のレベルはAプランの方が高めです。なお、以下では新築住宅の技術基準を紹介しますが、中古住宅用の技術基準もあります。
新築住宅の技術基準 | 【フラット35】S(金利Aプラン) | 【フラット35】S(金利Bプラン) |
省エネルギー性 | ・断熱等性能等級5以上の住宅で、かつ、一次エネルギー消費量等級6の住宅 | ・断熱等性能等級4の住宅で、かつ、一次エネルギー消費量等級6の住宅
・断熱等性能等級5以上の住宅で、かつ、一次エネルギー消費量等級4または等級5の住宅 |
耐震性 | ・耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)3の住宅
・免震建築物 |
・耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上の住宅 |
バリアフリー性 | ・高齢者等配慮対策等級4以上の住宅(共同建て住宅の専用部分は等級3でも可) | ・高齢者等配慮対策等級3以上の住宅 |
耐久性・可変性 | ・長期優良住宅 | ・劣化対策等級3の住宅で、かつ、維持管理対策等級2以上の住宅(共同建て住宅などについては、一定の更新対策が必要) |
※引用:【フラット35】Sの対象となる住宅|住宅金融支援機構
ちなみに、「フラット35」Sは予算金額が設定されており、申込状況によっては受付が終了する可能性があります。支払総額を圧縮できる制度なので、長期優良住宅の取得を決めた際は早めに行動しましょう。
地震保険料の割引が受けられる
長期優良住宅には、地震保険の「耐震等級割引」あるいは「免震建築物割引」のどちらかの条件を満たすことで、地震保険の保険料が最大50%割引されるメリットもあります。条件クリアのハードルは高いものではなく、長期優良住宅の認定基準をクリアしていれば問題ありません。
地震保険料の割引を受けるには、基準を満たした建物であると証明できる資料を保険会社に提出することが必須です。ただし、長期優良住宅に認定されている場合でも、提出した書類上で耐震等級が不明だったり、免震建築物であることが確認できなかったりすると、適用される割引率が低くなる恐れがあります。
国や自治体の補助金がもらえる
子育て世帯もしくは若者夫婦世帯なら、エコホーム支援事業者で住宅を建てる場合、「子育てエコホーム支援事業」から最大100万円の補助金が受け取れます(2024年4月時点)。国が交付する他の補助金制度との併用は制限されるものの、地方自治体が自主的・主体的に行う単独事業費による補助金であれば併用可能です。
資産価値が落ちにくい
長期優良住宅は家の資産価値が落ちにくく、一般的な住宅に比べて売却しやすい特徴もあります。「長く住み続けられる品質の高い家」として認定されるためには、建物の劣化対策や耐震性をはじめ、定期的なメンテナンスをするための維持保全計画の策定も必要です。つまり、長期優良住宅の認定条件となる10項目の基準をクリアする家づくりをすることで住宅の品質が向上し、資産価値の評価が高くなります。
家は新築時が最も資産価値が高く、年数が経つにつれて価値が失われます。将来的に家の売却も考慮するなら、長期優良住宅の認定を受けるメリットは大きいでしょう。
長期優良住宅の認定を受けるデメリット
魅力的な要素の多い長期優良住宅ですが、デメリットに目を向けることも大切です。ここでは、長期優良住宅の認定を受けることで生じるデメリットについて解説します。
建築コストが上がる
長期優良住宅は構造を安定させたり、省エネルギー性を高めたりするために一般的な住宅に使用する構造材よりも太く、使用する材料も多くなりがちです。例えば、釘は専用の種類を使い、打ち付ける間隔を狭くする必要があるので、材料費だけでなく手間も増えます。このような影響から、一般的な住宅に比べると建築コストが上がることは避けられません。
加えて、申請費用や認定を継続するための定期点検・修繕の費用も必要です。例えば、2階建ての一戸建て住宅の申請費用は5万円以上かかる場合もあるので、建築費以外のコストも確認しておきましょう。ただし、長期優良住宅は各種税金の軽減措置や補助金などの制度が手厚く、コスト面のデメリットを上回るだけのメリットを得られると考えられます。
場合によっては基準を満たすことで間取りや設計に制限がかかる
長期優良住宅の建築では、耐震等級3の評価を得るために、一般的な住宅よりも多くの耐力壁をバランスよく配置する手法が多く採用されています。基本的に、耐震性を高めるには柱や壁を増やす必要があるので、基準を満たしつつ大きな空間をつくるのは簡単ではありません。
そもそもハウスメーカーや工務店によっては、長期優良住宅の仕様に対応していない場合もあります。長期優良住宅の認定を受けつつ、大きな空間をつくりたい場合は、耐力壁以外の耐震性対策もできるハウスメーカーや工務店への依頼がおすすめです。
メンテナンスの状況に関する記録を作成・保存しなければならない
長期優良住宅の認定を受けたあとは、計画に基づく建築・メンテナンスを行わなければなりません。その建築・メンテナンスの状況に関する記録の作成・保存が必要です。最初のメンテナンスは工事完了から10年以内に行い、以降は10年以内ごとに点検・修繕を実施して記録します。
また建築完了前の設計変更や、建築完了後に増築やリフォームをしようとするときなども計画変更の手続きが必要です。建築やメンテナンスが計画通りに行われていない場合は、所管行政庁からの改善を要求され、従わない場合は認定が取り消される恐れがあります。
長期優良住宅の認定を受けるなら実績のあるハウスメーカー・工務店選びを!
長期優良住宅の建築や申請は、施工事業者にある程度の知識が求められます。特に耐震性や省エネルギー性、維持管理・更新の容易性の基準を満たすには、実績や高い技術力があることが欠かせません。実績のある住宅会社を選ぶことで心配な点も相談しやすく、スムーズかつ快適な家づくりが叶います。長期優良住宅は、定期的なメンテナンスをすることで老後も安心、さらに世代を超えて住み続けられる住まいになるため、迷っている人はまず相談するのがおすすめです。
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最長保証60年の長期優良住宅をトヨタホームでかなえよう
長期優良住宅は、長期にわたって安心して快適に暮らせる品質の高い住宅です。減税措置や住宅ローンの金利優遇などのメリットがあるものの、10項目の認定基準を満たして満足度の高い家にするには、実績と技術力のあるハウスメーカー選びが重要です。
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