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2024.04.27

耐震構造は地震に強い?メリット・デメリット、制震・免震との違いも解説

耐震構造は地震に強い?メリット・デメリット、制震・免震との違いも解説

2024年元日に発生した能登半島地震では、能登地方で最大震度7を観測するなど、北陸地方を中心に広範囲で大きな揺れに見舞われました。この地震で、石川・富山・新潟の3県で少なくとも約8,800棟の建物が全壊し、甚大な被害の様子を伝える報道などを見聞きして、住まいの耐震性の重要性を実感している方も多いことでしょう。

地震に強い建物構造というと、耐震構造・制震構造・免震構造など様々な種類がありますが、どのような違いがあるのかわかるでしょうか。

この記事では、地震に強い家を建てたいと考えている方に向け、耐震構造の特徴やメリット・デメリットを解説します。制震構造・免震構造との違いも紹介しますので、この記事を読むことで自分たちに合った方法で地震に強い家を建てられるようになるでしょう。

地震に強い家とは?

地震に強い家とは?

そもそも「地震に強い家」とは、どのような特徴を持つ家を指すのでしょうか。「地震に強い家」と判断する目安としては耐震等級と対地震構造の2つがあります。2つの組み合わせによって、その家が地震に強いかどうかを判断できます。

耐震等級とは建物の耐震性を表す指標の一つで、1〜3の3段階に分かれています。数字が大きくなるほど地震に対する強度が高まり、具体的に次のような基準で等級が付されます。

耐震等級1 震度6〜7の大地震でも倒壊・崩壊しないレベルの耐震性

(建築基準法における耐震基準と同等レベルの耐震性)

耐震等級2 耐震等級1で想定される大地震の1.25倍の地震力でも倒壊・崩壊しないレベルの耐震性
耐震等級3 耐震等級1で想定される大地震の1.5倍の地震力でも倒壊・崩壊しないレベルの耐震性

2つ目は、建物を建てる際に施される地震対策の方法のことです。大きく「耐震構造」「制震構造」「免震構造」の3つに分けられます。それぞれの特徴は次のとおりです。

耐震構造 柱・梁・壁など建物の主要構造部の強度を上げることで、地震の揺れによる建物の損壊を最小限に抑える構造
制震構造 建物の構造部に設置した制震装置(ダンパー)で地震エネルギーを吸収することにより、建物に伝わる揺れを弱め、建物の損傷を最小限に抑える構造
免震構造 建物と地面の間に免震層を設け、建物と地面を切り分けることにより、建物に地震の横揺れが極力伝わらないようにして、建物の損傷を最小限に抑える構造

耐震・制震・免震それぞれに異なる特徴、メリット・デメリットがあるため、計画している建物に適した構造を選ぶことが重要です。

注文住宅を制震構造にするメリットは?デメリット、耐震・免震との違いも解説▶

【注文住宅】地震に強い家を建てたい!家の特徴や構造、ポイントをまとめて解説▶

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耐震構造とは? 

耐震構造とは? 

今回のテーマである耐震構造が、どのような仕組みなのか詳しく見ていきましょう。

耐震構造とは、建物自体の強度を上げて、地震の水平方向の揺れにも耐えられるよう設計された構造のことをいいます。地震の揺れ自体を弱めるわけではなく、揺れに対する建物強度を上げることで、建物が地震によって破損したり倒壊したりするのを防ぐのが目的です。

建物の耐震性については、建築基準法・建築基準法施工令によって耐震基準が定められており、一定の耐震性が認められなければ建物を建てることはできません。耐震基準とは、地震に対して建物がどれくらい安全なのかを示す基準のことです。1981年6月の建築基準法改正を境に、それ以前に用いられていた旧耐震基準と、それ以降に適用されている新耐震基準があります。さらに、2000年の改正により木造住宅をメインターゲットとした「2000年基準」が設けられ、新耐震基準の弱点を強化した基準となっています。

耐震構造のメリット

それでは耐震構造にはどのようなメリットがあるのか見ていきましょう。

コストがかからない

3つの構造のなかで最もコストがかからないのは耐震構造です。建物の新築時、新耐震基準を満たしていなければ建築できないため、必要最低限の耐震構造は取り入れられています。高い耐震性を有している新築住宅も多く、耐震構造にするための追加費用はかからないケースがほとんどでしょう。

地盤の影響を受けにくい

耐震構造は制震構造や免震構造と異なり、建物自体の構造を強靭にすることで揺れに対する強度を高めるというものです。そのため、地盤の弱い土地に立つ建物であっても、ある程度の耐震効果が期待できる点はメリットといえるでしょう。

台風などの強風にも対応できる

耐震構造は建物の揺れに対する強度を高める構造なので、地震の揺れだけでなく、台風などの強風による建物の揺れにも効果を発揮します。地面と建物を切り離す免震構造が地震の揺れにしか効果を発揮しにくく、強風時には建物が揺れてしまうのとは対照的なメリットです。

耐震構造のデメリット

耐震構造にはメリットがある一方、注意が必要なデメリットも存在します。検討するにあたっては、メリットだけでなくデメリットも十分に理解しておきましょう。

地震の揺れが繰り返されると建物にダメージが蓄積される

1回の大地震では倒壊・崩壊しない程度の強度が期待できる耐震構造ですが、繰り返し地震の揺れが起きれば、建物にダメージが蓄積されていきます。構造部にダメージを受けた建物は耐震性が弱まっているため、同じような大地震に再度見舞われれば損壊する可能性は否定できません。再び大きな地震に耐えられるようにするには、地震後にメンテナンスを行って耐震性を取り戻す必要があります。

地震の揺れが建物にダイレクトに伝わる

繰り返しになりますが、耐震構造は揺れに対する強度を高めるだけで、地震による建物の揺れを抑える効果はありません。そのため建物が崩壊しなくとも、室内は大きな揺れに見舞われ、上階にいくほど揺れは増幅されます。室内にいる人は大きな揺れをダイレクトに感じる恐れがあります。

家具の転倒や物の落下などが起こりやすい

耐震構造には地震の揺れを弱める効果はないため、大きな揺れが起こると建物内が激しく揺れ、家具・家電の転倒や物の落下が起こりやすくなります。建物が地震の揺れそのものに耐えられたとしても、大きな家具の転倒によって損傷するリスクはあるでしょう。

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制震(振)構造とは?

ここからは耐震構造以外の構造の特徴も見ていきましょう。まずは制震構造の仕組みや特徴を紹介します。

制震構造は、建物の構造部に設置した制震装置(ダンパー)で地震の揺れを吸収し、建物に伝わる揺れを軽減することで倒壊や損傷を防ぐ構造です。

ダンパーには、ゴムのような柔軟性のある素材で地震エネルギーを吸収する粘弾性型ダンパー、オイルが緩衝材的な役割を果たして揺れを吸収する油圧(オイル)ダンパー、金属が曲がることで揺れを熱エネルギーに変えて抑える鋼材ダンパーなどの種類があります。どのダンパーを採用するかは、建物規模などによって判断するのが基本です。

タワーマンションや超高層ビルなどの高さがある大型の建築物で採用されている制震構造です。

制震(振)構造のメリット

制震構造にはどのようなメリットがあるのか見ていきましょう。

免震構造よりコストがかからない

制震構造は構造部にダンパーを設置するだけで効果が期待できるため、免震構造ほどコストがかかりません。低コストで導入のハードルも低いことから、一般住宅での採用例が増えているのです。免震構造のように高額なメンテナンスの必要もなく、維持費用の面でも経済的といえます。

地震時の建物の揺れや変形を抑えられる

耐震構造と異なり、制震構造は地震による建物の揺れ自体を小さくする構造であるため、地震時に建物が変形するのを抑えることができます。そのため、揺れによる構造体の損傷を小さくすることも可能です。地震に繰り返し襲われても、建物のダメージが蓄積されにくいので、大きな地震のあとも生活を継続できる可能性が高い点は大きなメリットです。

2階以上が揺れにくくなる

建物に伝わる揺れを抑えることができる制震構造を導入すると、耐震構造では揺れが大きくなりやすい2階以上の揺れも小さくすることができます。高さのある建物で制震構造が導入されるのは、このメリットがあるからです。建物の揺れを抑えられるので、台風時などの強風による揺れなど、地震以外の揺れにも一定の効果を発揮します。

制震(振)構造のデメリット

制震構造には次のようなデメリットもあるため、検討時には認識しておきましょう。

一定程度の耐震構造がないと効果が発揮されない

制震構造は建物に制震装置を設置するため、元の建物に一定程度の耐震構造がないと十分な効果を期待できないというデメリットがあります。新耐震基準を満たしていない中古住宅に制震構造を後付けする場合、スケルトンリノベーションなどで耐震補強するのと合わせて実施したほうがいいでしょう。

また、制震装置の位置によって制震性能が大きく異なってきます。効果を最大限にするためには、制震装置を適切な位置に設置することが重要です。

地盤が弱いと地震の揺れを吸収しづらい

制震構造は免震構造のように建物と地面を切り離すわけではないので、建物の立つ地盤が弱いと地震の揺れを吸収しづらくなり、期待される効果を十分に発揮できません。敷地内で場所によって地盤の硬さが違うなど、地盤に不均一性があるケースも同様です。

新築住宅では地盤改良を行うのでさほど問題になりませんが、既存の建物に後付けするケースでは注意しましょう。

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免震構造とは?

免震構造は建物と基礎の間に、アイソレータと呼ばれる積層ゴムやローラー、ダンパーなどの絶縁部材を入れた免震層を設けることで、地震の揺れが建物に伝わりにくくする構造です。建物の揺れを小さくする点では制震構造と共通ですが、そもそも地震の揺れが建物に伝わらないよう、地面と建物を切り離す点が免震構造の大きな特徴となっています。

その名のとおり、制震構造が揺れを制して建物の揺れを抑えるのに対し、免震は揺れを受け流すことで建物が揺れることから免れる構造といえるでしょう。

免震構造のメリット

免震構造についても、どのようなメリットがあるのか順番に解説します。

大規模地震でも揺れが小さい

免震構造は3つの構造のなかでもとりわけ揺れを小さくできる構造のため、大規模地震でも揺れが小さい点は大きなメリットです。建物の揺れそのものが小さくなることで、上階の揺れを抑えられるのも特徴といえます。タワーマンションや超高層ビルなど高さのある建物では、免震構造が積極的に用いられます。

地震の揺れが建物にほとんど伝わらないためダメージが少ない

免震構造は建物と地面を切り離すことで、地震の揺れのうち横方向の揺れが建物にほとんど伝わらないようにします。建物に大きな損傷をもたらす横揺れが伝わりにくいので、揺れによるダメージを少なくできるのです。ダメージの蓄積も少なくなるため、大地震に見舞われたあとでも、自宅で引き続き生活を継続できる可能性が高まります。

家具の転倒や物の落下が起こりにくい

地震時の横揺れを抑えられる免震構造では、室内の揺れを抑えることもできるため、家具・家電の転倒や物の落下が起こりにくいのもメリットです。大地震では転倒した家具・家電の下敷きになったり、落ちてきた物や割れたガラスでケガをしたりするケースも少なくありませんが、こうしたケガを防ぐことにもつながります。

免震構造のデメリット

地震に対する強力な備えとなる免震構造にもデメリットはあります。次に挙げる3つの点に気をつけましょう。

コストが高額になる

免震構造は揺れを抑える効果が高い分、ほかの2つの構造に比べてイニシャルコストが高めです。導入時だけでなく、設置後のランニングコストが高くなりやすい点も併せて注意が必要でしょう。新築から5年後、10年後、それ以降は10年に一度メンテナンスを実施するのが良いとされており、住宅の維持管理費用を計画的に積み立てておく必要があります。

縦揺れに弱い

建物と地面を免震層で切り分けることによって抑えられるのは、おもに地震による横揺れです。しかし、縦揺れに関しては地面から突き上げるエネルギーなので、揺れを抑制する効果はそれほど期待できません。加えて、地面と切り離されていることで、台風による強風が引き起こす揺れなど、地震以外に起因する建物の揺れには弱い点も注意が必要です。

戸建て住宅で施工できるハウスメーカーが少ない

免震構造は大規模な建物で採用されるケースが主流で、戸建て住宅での施工に対応しているハウスメーカーは多くありません。それだけにいっそう費用が高くなりやすいのが実情です。また、免震構造にしようとすると建物下に免震層を設けなくてはならず、地下室が作れなくなります。戸建ての間取りに制約が出る可能性もあるため注意しましょう。

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「耐震」の弱点を「制震」でカバーする、トヨタホームの住まいでさらに地震に強く!

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新築住宅の場合、耐震等級1レベルの耐震構造はどの住宅も備えています。ただし、耐震基準で想定される地震力以上の地震に耐えられる耐震等級2・3レベルとなると、依頼するハウスメーカーによって仕様が異なってくるでしょう。

トヨタホーム「シンセ・シリーズ」では、独自の鉄骨ユニットラーメン構造による強靭な構造体を用いることで、耐震性能の最高等級である耐震等級3を標準仕様としています。

いつ来るかわからない大地震に備えられる住まいを検討している方は、ぜひトヨタホームの住宅展示場で詳細をご確認ください。「シンセ・シリーズ」の技術カタログをご覧になりたい方は、Webフォームからのご請求が便利です。

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監修者クレジット情報_月島さま(元大手ハウスメーカー勤務あり)

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