全館空調の快適性が気になるものの、Webサイトなどで「ダクトにカビが生える」「全館空調は健康に良くない」といったマイナスの情報を目にして、導入すべきか悩んでいる人もいるかもしれません。
全館空調のダクトにカビが発生することはありますが、これは全館空調を導入していることが原因ではありません。むしろ全館空調のダクトは本来カビが発生しにくいものであり、あくまでも住まいの環境がカビを繁殖させているのです。
この記事では、全館空調のダクトにカビが生える理由やカビを発生させないための条件や対策を解説します。すでに全館空調の導入を決めている人も、この記事を読んでカビの生えない快適な住まいを目指しましょう。
全館空調のダクトにカビが発生するって本当?
「全館空調のダクトはカビが生えやすい」という話を聞いたことがあるかもしれません。しかし、結論からいえば全館空調だからカビが発生しやすいわけではありません。
一般的に次の4つの条件がそろうと、カビが発生しやすいとされています。
・高すぎる湿度(60〜80%)
・ゴミ・ホコリ・皮脂などの栄養分が豊富な汚れた環境
・日当たりや風通しの悪さ
・25〜30℃前後の室温
全館空調のダクトは、基本的に24時間365日稼働しています。常に空気が流れているので、ダクト内はホコリや湿気が溜まりにくい構造です。また、高性能のフィルターが設置されていれば、ダクト内にホコリや花粉、カビの胞子などが侵入するのも防げるでしょう。
こうしてみると、全館空調のダクトはカビの生えやすい4つの条件には当てはまりにくいです。全館空調だからカビが発生するという認識は事実と異なるのです。
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全館空調のダクトにカビが発生する理由は「内部結露」
前章で紹介したとおり、全館空調のダクトは本来カビが生えにくいものです。しかし「内部結露」が起こると、ダクトにカビが発生してしまうことがあります。
近年、省エネ性や快適性向上のために高気密・高断熱の家を建てる人が増えています。特に全館空調の場合、高気密・高断熱の家づくりが重要です。高気密・高断熱にすると外気の影響を受けにくく室内の熱が外に逃げにくいため、全館空調により一定の温度を保ちやすくなります。
高気密・高断熱の家では目に見えないすき間の面積を減らし、屋外との空気の出入りを最小限に抑えるため、通常は結露が起きません。しかし、断熱材を入れる際に少しでもすき間があると、外から入り込んだ冷気と断熱材内部の温かな空気の間に温度差が生じます。そして壁の内部で発生してしまう結露を「内部結露」といいます。
窓ガラスや窓につく一般的な結露は「表面結露」であり、目に見えるのでタオルで拭き取るなどの対処ができる一方、内部結露は目に見えないため対処しにくいのが問題です。気づかずに放置された内部結露はカビが発生する原因になるとともに、建物構造の腐食や悪臭などを引き起こす可能性があります。
こうした内部結露が、全館空調のダクトにもカビを発生させるのです。
住宅で「内部結露」が発生する原因
内部結露は壁の内側や天井裏、床下などでよく発生します。住宅内の内部結露は「断熱」が原因となるケースが多くなっています。具体的にどのような原因が考えられるのか見ていきましょう。
屋根断熱が施されていないため
住宅で一般的に採用されているのは天井の仕上げ材の上に断熱材を入れる「天井断熱」ですが、屋根の勾配に合わせて断熱材を入れる断熱方法を「屋根断熱」といいます。
天井断熱は屋根断熱に比べてコストが抑えられるものの、断熱材が施されていない屋根裏が高温状態になりやすいというデメリットがあります。全館空調ではダクトを通して室内に冷気が送られますが、このダクトを屋根裏に設置する場合で天井断熱と組み合わせてしまうと、ダクト内は冷気で満たされても、外は熱気が覆っている状態になります。このとき生じるダクト内外の温度差によって、内部結露が発生してしまうのです。
これに対し、屋根断熱は夏の暑い日でも屋根裏が高温状態になるのを防ぐことができます。屋根裏に設置したダクト内外の温度差も小さくなり、内部結合の発生を防ぐのに効果を発揮します。そのため、ダクトを屋根裏に設置する場合は、屋根断熱を採用するのが必須と言えるでしょう。
ただし、屋根断熱は天井断熱に比べてコストがかかるうえ、高い施工技術が求められるというデメリットがあります。施工技術の高いハウスメーカーへ依頼することをおすすめします。
なお、床下にダクトを配置するタイプの全館空調を採用する際も同様に注意が必要です。床の仕上げ材の下に断熱材を設置する床下断熱よりも、基礎部分に沿って断熱材を入れる基礎断熱のほうが高気密であり、全館空調との相性が良いといえるでしょう。
断熱材が湿気を通しやすい素材であるため
屋根断熱を施していたとしても使用する断熱材の機能性が低いと、高い気密性を保つことができず、内部結露を招く可能性があります。
断熱材と一口にいってもさまざまな種類があり、素材ごとに異なる特徴や性質があります。スタンダードな断熱材としてよく用いられるグラスウールは、安価で施工できるのが特徴です。一方、綿状なので内部に湿気を含みやすく、防湿シートを併用した湿気対策が必須となります。湿気を含んでしまうと、ヨレや沈みが起きたり腐食したりして断熱性能が落ちてしまうでしょう。
かつてはグラスウールのシェアが圧倒的でしたが、最近では吹き付けるタイプのセルロースファイバーや硬質ウレタンの断熱材がメジャーになってきています。
セルロースファイバーは、はっ水加工が施されていて結露を防ぎやすいのが特徴です。一方でカビが発生することがある、価格が高いといった点はマイナスのポイントです。
同じく吹き付けタイプの硬質ウレタンも湿気に強く、すき間をしっかりと埋められるので熱や空気をシャットアウトできるというメリットがあります。ただし、万が一燃えてしまったときには有毒ガスを発生するリスクがあり、施工に専門技術を要するためにコストが高い点がデメリットです。
全館空調を採用する際は、それぞれの断熱材がどのような特徴を持っているのかも把握しておく必要があります。住んでいる地域や土地の特性によっても適正な断熱材が異なるため、ハウスメーカーに確認しながら検討しましょう。
断熱材の施工不良のため
いくら高断熱・高気密な家づくりをしても、断熱材の施工不良があると断熱性能が大きく低下してしまいます。断熱性が低くなると内部結露が発生しやすくなり、全館空調のダクト内にカビが繁殖する可能性も高まります。
断熱材の施工不良は目に見えない部分であり、素人では確認できません。業者による定期点検でしっかりと確認してもらうようにしましょう。メーカーによっては有償でダクトクリーンを実施しているところもあるので、不安な方は依頼しても良いかもしれません。
全館空調のダクトのカビ対策とは
全館空調のダクトにカビが発生するのは、全館空調設備ではなく内部結露をはじめとする環境に原因があると紹介しました。カビの原因となるような環境にしないことが何より大切ですが、そういった環境を防ぎきれないときもあります。カビの発生しやすい環境を作らないための方法、カビが発生したとしても繁殖を防ぐための方法をそれぞれ紹介しましょう。
全館空調の送風は止めない
全館空調のダクトにカビが発生する最大の要因は内部結露であり、内部結露が発生しやすいのは温度差と湿気がある場合です。全館空調は家の中の空気を循環させて、家の中全体を快適な温度に保つシステムであり、24時間365日室内の空気を換気しています。
全館空調システムをオンにしていれば、常に空気の流れが生まれるので内部結露が生じにくくなり、カビの発生も抑制できるでしょう。冷暖房運転は必要に応じてオン・オフしても問題ないですが、送風は24時間365日止めないほうがカビ対策になります。
アフターフォローがしっかりしているメーカーを選ぶ
全館空調を含め、アフターフォローのしっかりしているハウスメーカーを選ぶことで、家の状態を定期的に把握できます。もしダクトにカビが発生してしまっても、早い段階で気づいて必要な対応を講じることができるでしょう。
メーカーによる定期点検があれば、全館空調を使用する中で生じた疑問や不安もその都度相談できて安心です。家づくりの際は全館空調に限らず、アフターフォローについてもしっかり検討するようにしましょう。
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「全館空調はダクトにカビが生えやすい」といわれることがありますが、これは正しくありません。むしろ全館空調はカビが生えにくいものであり、カビの発生は内部結露をはじめとする住まいの環境が原因といえます。内部結露を防ぎ、カビの発生を抑えるには高断熱・高気密の家づくりと全館空調の連続運転を行いましょう。
全館空調は定期的なメンテナンスが不可欠であり、メーカーによるアフターフォロー体制も重要です。
トヨタホームの全館空調「スマート・エアーズ」は、全館空調システムに基礎断熱を組み合わせることで年中快適な住環境を実現するシステムです。24時間一定の風が送られるので、カビの発生を抑制できます。10年の設備保証付きで、さらに安心して使用できるでしょう。
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