これからの家は「高気密・高断熱」が標準仕様になりつつあり、それに伴って全館空調を導入する家庭が増えています。家の中の空気をキレイに保つ全館空調は、原則として24時間365日稼働させなくてはなりません。
電気をはじめとしたエネルギー価格の高騰が続く昨今、「エアコンのスイッチを入れるのも躊躇する」という声は多く、全館空調にどのくらいの電気代がかかるのか気になる人は多いでしょう。
この記事では、全館空調にかかる電気代の目安と電気代節約のために覚えておきたい全館空調の上手な使い方を紹介します。
全館空調の仕組みとは?
※トヨタホームの全館空調「スマート・エアーズ」の場合
https://www.toyotahome.co.jp/special/feelas/2017/technology/
全館空調は家全体の空気をきれいに保ちつつ、過ごしやすい一定の温度に調整するためのシステムです。各部屋に冷暖房機器を設置するのと違い、全館空調ではメインとなる空調機1~2台で、各部屋はもちろんのこと浴室やトイレまで快適な温度に管理します。
空調の仕組みには次の4種類があり、メーカーによって温度管理の方法や機能が異なります。
吹き出し型 | 天井裏などに設置した空調室内機から、ダクトを通して各部屋の天井吹き出し口に送風 |
床下冷暖房型 | 床下の基礎部分を断熱して冷暖気を蓄熱し、床ガラリと天井吹き出し口に送風 |
壁パネル輻射型 | 壁に大型冷暖房パネルを設置し、パネルからの輻射熱で家全体を冷暖 |
壁掛けエアコン応用型 | 室内に1台の壁掛けエアコンを設置し、ダクトを通して各部屋に送風 |
なぜ「全館空調の電気代は高い」と言われるのか?
エアコンなど単体の冷暖房機器は、必要なときだけ稼働させることができる上に、使わないときはコンセントを抜いて待機電力も節約できます。一方、全館空調は常時運転が基本です。一つの部屋だけを冷やしたり暖めたりするのではなく、家全体の空調を行うため、家の規模が大きくなるほど電気代も高くなる傾向にあります。
だからといって、こまめに電源を入れたり切ったりするのはおすすめできません。冷暖房は運転起動時に最も電力を消費します。一度運転を停止すると次に運転を始めたときに設定温度に達するまでに時間がかかり、その分、電気代がかかるからです。
また、稼働していない間はダクト内に結露やカビが発生しやすく、故障リスクも高まります。修理に数十万円かかるケースもあり、電気代節約のつもりが逆効果になりかねません。
全館空調とエアコンの電気代の比較
では、具体的には全館空調にいくらぐらいの電気代がかかるのでしょうか?
平均的な全館空調のある40坪4人家族の住まいでは、電気代は年間約10万円かかると言われています。一方、4台のエアコンを稼働させた場合では、年間約12.3万円かかるでしょう(1kWh30円の電気で、年間エアコンを1022kwh使用した場合)。
参考:マイホームには「エアコン」よりも「全館空調」?それぞれの費用を教えて!
上記の全館空調とエアコンの年間の電気代を比較すると、全館空調の方が年間2.3万円の節約につながることがわかりました。全館空調の初期費用に費用が掛かったとしても、長い目で見ると全館空調の方がトータルコストを安く抑えられることが分かります。
なお、年間の電気代は全館空調やエアコンの設備自体や、建物条件、環境、使用状況、契約する電気プランなどによって異なります。
全館空調の電気代を抑えるためのコツ
全館空調の電気代が気になって導入を迷っている人には、具体的な節電方法があったほうが判断しやすいかもしれません。そこでここからは、全館空調にかかる電気代を抑えるコツを紹介します。
各フロアで別稼働、もしく設置できるタイプの全館空調を選ぶ
全館空調は、基本的には家全体を一定の温度に保つシステムですが、フロアごとに温度管理できるタイプや稼働を分けられるタイプもあり、ライフスタイルに合う製品を選ぶことが電気代の節約につながります。
たとえば、1階リビングに家族が集まっているときは2階の設定温度を控えめに、それぞれが2階の寝室で休むときは1階の設定温度を控えめに…といったように生活シーンで使い分ければ、フル稼働を避けて電気代を抑えることができるでしょう。帰宅したときに快適な温度になっているように、タイマーを活用するのも効果的です。
また、導入コストは高めになりますが、部屋ごとに温度設定できるタイプもあります。暑さ寒さの感じ方は人によって異なるため、より快適に過ごすためにはこうしたタイプもおすすめです。
太陽光発電や家庭用蓄電池と併用する
全館空調とともに、太陽光発電や家庭用蓄電池を導入する方法もあります。太陽光発電でつくられた電気は、家庭で使い切れなかった分を電力会社に買い取ってもらうことができますし、蓄電池に貯めておいて夜間に使うこともできます。天候や季節によっては十分な発電量を得られないこともあり、電気代の支払いがゼロになるわけではありませんが、かなりの節約になるはずです。
全館空調・太陽光発電・家庭用蓄電池をセットで導入すると高額な費用がかかりますが、国や自治体が行っている補助金制度を利用することにより、導入時の負担を軽減できるでしょう。補助金制度にはいくつかの種類があり、適用要件がそれぞれ異なります。まずはハウスメーカーや施工業者に相談してみてください。
冷暖房が必要のない時季は運転をストップさせる
比較的過ごしやすい春や秋は、冷暖房の運転を停止して換気のみにすることで電気代を節約できます。前述のとおり、全館空調が最も電力を消費するのは冷暖房の起動時です。換気だけならそれほど多くの電力を使わないため、窓を開けて自然の風を入れることも問題ありません。なお、全館空調には空気清浄機能もあるので、花粉やPM2.5などの有害物質が気になる場合は窓を開けないほうが快適に過ごせます。
扇風機やシーリングファンも併用する
個別の温度調節機能がない場合は、各部屋で扇風機やシーリングファンなどを併用すると効果的です。ご存じのとおり、暖気は上に冷気は下に集まります。扇風機などを利用して空気を循環させることで室内の温度ムラが解消され、冷暖房の運転効率がアップして電気代の節約につながります。
吹き抜け部分の天井には、おしゃれなシーリングファンを設置してはいかがでしょうか。フロアごとの温度ムラが解消されやすくなりますし、インテリアとしても素敵です。
フィルターのメンテナンスはこまめに行う
ゴミやホコリでフィルターが目詰まりすると運転効率が下がり、より多くの電力を消費するようになります。電気代節約のために、フィルターはこまめに掃除することが大切です。目安は2週間に1回程度で、掃除機でゴミやホコリを吸い取り、水洗いして完全に乾いてからもとに戻します。
花粉の多い季節はフィルターが汚れやすいので、1週間に1度のペースで汚れ具合をチェックしましょう。1年に1回は、新しいフィルターへ交換することをおすすめします。
全館空調のメリットまとめ
ここまで全館空調にかかる電気代について解説しましたが、コストと合わせて「導入によってどのような暮らしか実現できるか」を把握・想像して最終決断することが大切です。以下に全館空調のメリットをまとめたので、検討時の材料にしてください。
年間を通して、部屋の室温が均一に保たれる
高齢者のいる家庭では、冬に発生しがちなヒートショックによる事故が心配です。洗面所やトイレまで一定の温度に保たれていれば、急激な温度差で体がダメージを受けるのを防げるでしょう。体温調節が未発達な赤ちゃんや、暑さ寒さに弱いペットも快適に過ごせます。
家中にきれいな空気を循環する
フィルターが有害物質を除去するので、風邪やインフルエンザの予防、花粉症対策につながります。また常に自動換気を行うため、気になる生活臭やペット臭も軽減されます。
エアコンがないため、見た目がスッキリする
各部屋にエアコンを設置すれば同じ台数の室外機を置くことになりますが、エアコンがないので部屋の見た目も家の外観もスッキリします。
送風が直接肌に当たらない
ゆるやかに空気が循環し、扇風機やエアコンのように風が直接肌に当たることがありません。人工的な風が苦手な人も快適に過ごせるでしょう。
全館空調のデメリットまとめ
全館空調の導入には、高額な費用がかかります。使い始めてから後悔することのないよう、デメリットも確認しておきましょう。
冬は乾燥が気になる
全館空調の暖房運転では、設定温度よりも暖められた空気が吹き出されることがあります。外気も冬場は乾燥しており、エアコン使用時よりも乾燥しやすいことがデメリットです。加湿器を併用するか、加湿機能付きの全館空調を選ぶことが対策としてあげられます。
各部屋で温度設定ができない
基本的には家全体を一定温度に保つシステムであり、部屋ごとに温度を変えることはできません。フロアや部屋ごとに温度設定できるタイプもありますが、一般型に比べると費用は高めです。
気密性や断熱性の低い家には向かない
全館空調は、高気密・高断熱とセットで考えます。気密性や断熱性の低い家ではムダに電力を消費するだけになってしまうので、既存の家に導入する際は高気密・高断熱リフォームが必要です。
トヨタホームの全館空調「スマート・エアーズ」はフロアごとに稼働、設置もOK!電気代が抑えられる
常時運転させる必要がある全館空調は「電気代がかかる」と思われがちですが、家族構成やライフスタイルに合ったタイプを選ぶことが電気代節約につながります。
トヨタホームの全館空調「スマート・エアーズ」はフロアごとの作動が選べ、不在時などにムダな電力を消費することがありません。1階のみ・2階のみに設置することもでき、コストを抑えやすい全館空調システムです。「スマート・エアーズ」を体感してみたい人は、ぜひお近くの展示場へお立ち寄りください。
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