近年、注目を集めているのが「ZEH(ゼッチ)住宅」です。国際的な脱炭素社会の実現に向けて、日本政府も2050年を目途にCO2(二酸化炭素)の排出を実質ゼロにするための取り組みを行っています。住宅分野においても環境に配慮した住宅が推奨され、条件を満たした住宅の新築・購入・建て替えに補助金制度が設けられています。そこで今回は、ZEH住宅の特徴や受けられる補助金制度について解説します。
住まいのエネルギー収支をゼロにする「ZEH住宅」とは?
ZEH(ゼッチ)とは、「net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」の略称です。さまざまな工夫により住まいの年間エネルギー消費量を実質ゼロまたはマイナスにすることを意味し、次の条件をすべて満たした住宅を「ZEH住宅」と呼びます。
性能 | 目的 | 基準 |
断熱 | 断熱性を高めることにより冷暖房にかかるエネルギー消費量を削減 | UA値(外皮平均熱貫流率)※1 0.4〜0.6W/㎡K以下 |
省エネ | 省エネ効果の高い住宅設備の導入 | 再生可能エネルギー等を除き、基準一次エネルギー消費量※2 から20%以上の一次エネルギー消費量削減 |
創エネ | 再生可能エネルギーを利用した自家発電 | 再生可能エネルギー等を加え、基準一次エネルギー消費量から100%以上の一次エネルギー消費量削減 |
※1:UA値(外皮平均熱貫流率)とは、室内と外気の熱の出入りのしやすさの指標のこと。値が小さいほど熱が出入りしにくく、断熱性能が高いことを示す。
※2: 基準一次エネルギー消費量とは、石油や石炭、天然ガスといった化石燃料である「一次エネルギー」の消費量を指す。
なお日本政府は、2030年度以降に新築される住宅について、ZEH水準の省エネ性能の確保を目標に掲げています。
ZEH住宅よりさらに上の基準なら「ZEH+(ゼッチプラス)」
2018年度にはZEHを上回る新基準として「ZEH+(ゼッチプラス)」が定義されました。認定基準は次のとおりで、より高度な省エネ性能が求められます。
①基準一次エネルギー消費量25%以上削減
②次の3要素のうち、2要素以上を満たすこと
1.UA値(外皮平均熱貫流率)0.3〜0.5W/㎡K以下
2.HEMS(ホームエネルギーマネージメントシステム)の導入
3.自宅敷地内に電気自動車の充電設備を設置
ZEH+の設備投資はZEHに比べて高額になるため、補助金額も高めです。補助金制度については記事後半で解説しますので、このまま最後までお読みください。
ZEH(ゼッチ)基準の住まいは省エネ基準よりハードルが高い!?要件をおさらいしてみようについて詳しくはこちら
ZEH住宅のメリット
環境にやさしいZEH住宅。そこで暮らす人にはどのようなメリットがあるでしょうか。ここでは主なメリットを4つ紹介します。
光熱費を大幅に削減できる
ZEH住宅は気密性や断熱性が高く、家全体の冷暖房にかかる消費電力を抑えられます。そこに太陽光発電などの再生可能エネルギーによる発電システムをプラスすれば、電気代の削減に効果的です。ただし電気の使用量は、ライフスタイルや家族構成などによって異なります。また、発電量は気象条件などによって変動するため、使用電力のすべてを賄えるものではないことに注意してください。
災害時に強い
ZEH住宅のメリットの一つに「災害時に強い」ということが挙げられます。ZEH住宅は、再生可能エネルギーを利用した自家発電が可能な家です。太陽光パネルなどの発電装置が災害で破損しなければ、日照時間に応じて電気が生成されます。蓄電池があれば、夜間の電気使用も問題ありません。
また、自然冷媒ヒートポンプ給湯機(エコキュート)を備えていれば、断水時の生活用水も確保できます。エコキュートとは、空気の熱と電気を利用してお湯を作る電気給湯器の一種です。貯水量は3~5人用で370リットル。家族の人数や使い方にもよりますが、2~3日は過ごせる量といえるでしょう。
住宅の資産価値向上につながる
ZEH住宅の補助金制度や減税制度などを利用する際に必要なのが、「BELS(ベルス)評価書」です。BELS(Building-Housing Energy-efficiency Labeling System)とは、第三者認証機関が行う「建築物省エネルギー性能表示制度」のことです。住宅の省エネ性能のランクに応じて5段階の星マークで表すもので、星の数が多いほど高性能の家であることを示します。BELSの5つ星評価が受けられるZEH住宅は資産価値が高いと見なされるため、売却する際にも好条件で取引できる可能性があります。
補助金の対象になる
ZEH住宅は、国からの補助金制度の対象です。ZEHの基準を満たすには、断熱・省エネ・創エネの条件をクリアしなくてはなりません。それぞれ高性能な設備の導入が必要で、費用もそれなりにかかります。補助金を受けられれば、経済的な負担も軽減できるでしょう。ただし、ZEH住宅を建築・購入すれば自動的に補助金を受けられるというものではなく、利用要件を満たしたうえで公募期間中に申請を行う必要があります。補助金制度については、後ほど詳しく解説します。
【2022年度版】ZEHの補助金まとめ!もらえる金額や申請方法を一挙紹介について詳しくはこちら
ZEH住宅のデメリット
環境にも家計にも優しいZEH住宅は魅力的ですが、いざ住み始めてから後悔しないようデメリットも把握しておきましょう。
初期費用やメンテナンス費用が高額になる
高性能なZEH住宅は、一般的な高気密・高断熱住宅に比べて費用が高額です。坪単価では20~30万円ほどプラスになると考えられます。また、太陽光発電システムやエコキュートなど設備のメンテナンス費用もかかります。月々の電気代が大幅にカットできるというメリットはあるものの、その一部はメンテナンス費用に備えて貯蓄しておく必要がありそうです。
外観やデザイン、間取りが制約されることも
ZEH住宅の基準を達成するためには、窓や開口部の大きさ、屋根の形状・向きなどが制約を受ける可能性があります。外観デザインや、断熱性能を高めるために間取りにも影響するため、必ずしも思い描いた理想の家になるとは限りません。ZEH基準を満たしつつどこまで理想に近づけられるか、ハウスメーカーにしっかり相談することが大切です。
【令和6年度】ZEH住宅の補助金制度について
ZEH住宅補助金制度(注文住宅の新築の場合)には、次のようなものがあります(2024年5月現在)。
- 子育てエコホーム支援事業新築戸建住宅ZEH支援事業
【子育てエコホーム支援事業】
- 補助額:80万円/戸または40万円*/戸管轄:国土交通省
*市街化調整区域・土砂災害警戒区域又は浸水想定区域
子育て世帯(申請時点で2005年4月2日以降に出生した子を有する世帯)または若者夫婦世帯(申請時点で夫婦のいずれかが1983年4月2日に生まれた世帯)を対象とした補助金制度で、エコホーム支援事業者と工事請負契約を締結して住宅を新築する人です。詳細は、以下のリンクにてご確認ください。
【新築戸建住宅ZEH支援事業】
- 補助額:定額55万円/戸
- 管轄:経済産業省、環境省
SII(一般社団法人 環境共創イニシアチブ)に登録されているZEHビルダー/プランナーが設計・建築または販売する住宅に対して補助が行われます。追加設備等の加算もあり、例えば蓄電システムは、上限20万円です。ちなみに、前述のZEH+住宅に対する補助金額は、一戸あたり100万円です。詳細は以下のリンクをご覧ください。
2024年の経済産業省と環境省のZEH補助金について|一般社団法人 環境共創イニシアチブ
トヨタホームの「ZEH住宅」ならエネルギー収支ゼロ以下を実現!
トヨタホームでは、電気の使用状況を管理できる「HEMS(ホーム・ エネルギー・マネジメント・システム)」やオリジナル全館空調システム「スマート・エアーズ」などを搭載した、より快適で先進的なZEH住宅を提案しています。ZEH住宅では、制約されがちな大空間・大開口の実現も可能です。まずは一度、トヨタホームのZEH住宅についてチェックしてみましょう。
【注文住宅】ZEH(ゼッチ)とNearlyZEH(ニアリーゼッチ)の違いを分かりやすく解説!について詳しくはこちら
狭小地でも諦めない!ZEH Oriented(ゼッチ オリエンテッド)で都市部に家を建てようについて詳しくはこちら
トヨタホームのゼロ・エネルギーハウスについて知りたい方はこちらのURLをクリック
https://www.toyotahome.co.jp/chumon/technology/ZEH/
トヨタホームのZEHカタログの取り寄せを希望する方はこちらのURLをクリック