平屋に憧れているものの、「広い土地の購入が難しいから」と諦めている人は多いのではないでしょうか?狭い土地に平屋を建てるとなると、部屋をコンパクトにしたり、収納スペースを最小限にしたりといった工夫が必要です。しかしながら、窮屈さを感じるようでは平屋の魅力も半減してしまいます。
そこでおすすめしたいのが「スキップフロア」です。収納スペースとしてはもちろん居室としても利用できる空間で、平屋との相性も抜群です!おしゃれで機能的な家づくりが実現できるでしょう。この記事では、平屋に取り入れたいスキップフロアの魅力や活用術、実際に検討する際の注意点などを紹介します。
平屋と相性がいい「スキップフロア」とは?
スキップフロアとは、1階から2階、2階から3階といった各フロアの中間階のことです。収納スペースとして活用できるほか、ちょっとした居室としても使えます。スキップフロアの下に収納スペースを設けることもできるため、家の中のデッドスペースを存分に活用できます。
平屋の場合、スキップフロアを取り入れると1.5階になります。平屋にコンパクトな2階をプラスするイメージですが、総2階のような床面積を確保することはできません。それでも1階部分の床面積の半分ほどは増やせるので、延べ床面積は通常の平屋に比べて1.5倍ほどになります。平屋のメリットを活かしつつ、ゆとりある空間を実現できるスキップフロアは、平屋と特に相性の良い間取りといえるでしょう。
ロフトとの違い
「スキップフロアって要するにロフトのこと?」と思う人も多いでしょう。スキップフロアとロフトの違いは、「階」とみなされるかどうかといった点です。建築基準法ならびに施行令では、次のすべてに該当するものは「階とみなさない小屋裏物置等」、つまりロフトとして扱われます。
面積:小屋裏物置等が存する階の床面積の2分の1未満
高さ:最高内法高さ1.4m以下(直下の居室の天井高は2.1m以上)
出入り:バルコニーやベランダなど屋外に直接行き来できない
開口部:出入口以外の開口部は収納面積の20分の1以下
設備:コンセントは1カ所(テレビやインターネット等のジャックは設置不可)
上記すべてに該当した場合、そのスペースは建物全体の延べ床面積から除外されるため、固定資産税の課税対象面積からも除外されます。
ロフトとみなされた場合には固定資産税を軽減できるというメリットがありますが、天井高が1.4m以下に制限されるため、居室としての利用は難しくなります。一方、スキップフロアには天井高の制限がないため、居室としての利用も可能です。ただし、ロフト付きの平屋に比べると固定資産税は高くなります。
なお、固定資産税は地方税のため、自治体によって基準が異なる可能性があります。スキップフロアではなくロフトを希望する場合は、ハウスメーカーの担当者に相談するようにしてください。
平屋でスキップフロアにするメリット
ここでは平屋でスキップフロアにするメリットを4つ紹介します。
間取りの自由度が高くなる
スキップフロアを採用することで、平屋の間取りにおける自由度が大幅に向上します。例えば、通常の平屋では個室を確保するのが難しい場合でも、スキップフロアを利用することで、リビングや寝室を異なる高さに配置し、個室をしっかりと設けることが可能です。
また、スキップフロアを使って部屋を区切ることで、空間にメリハリが生まれ、視覚的にも楽しい住まいになります。例えば、リビングとダイニングに少し高低差をつけて配置することで、より開放感を感じられる空間が実現します。このように、スキップフロアは平屋に新たな可能性をもたらすのです。
風通しや日当たりが良くなる
平屋の住宅では、採光が難しいことが多いですが、スキップフロアを取り入れることで、室内に自然光を効果的に取り入れることができます。例えば、スキップフロアを高い位置に設置することで、間仕切りによる光の遮断を防ぎ、フロア全体に日差しが行き渡るようになります。また、窓を高い位置に設けることで、より多くの光を取り入れることが可能です。
このように、スキップフロアを活用することで、明るく開放的な空間を実現できるのです。さらに、風通しも良くなり、室内の空気循環が促進されるため、快適な住環境が整います。
限られた空間を縦に広く使える
平屋の住宅は通常、すべての部屋が1階に集約されるため、空間の使い方に制限があります。しかし、スキップフロアを取り入れることで、縦の空間を有効に活用できるのが大きな魅力です。
例えば、リビングの一部を中二階に移すことで、開放感を保ちながらもプライベートな空間を確保できます。これにより、家族が集まる場所と個々のスペースを明確に分けられ、ストレスなく生活できる環境が整います。
さらに、スキップフロアの段差部分は収納スペースとしても活用可能です。階段下や段差部分に収納を設けることで、不要なものをすっきりと片付けられ、室内が広々と感じられます。このように、スキップフロアは平屋の限られた空間を最大限に活かすための効果的な手法です。
秘密基地のようなおしゃれな空間になる
スキップフロアを取り入れることで、平屋に秘密基地のようなおしゃれな空間を作り出すことができます。例えば、リビングとダイニングの間に少し高いフロアを設けることで視覚的に空間が分かれると、遊び心あふれる印象を与えます。このような立体的な構造は、子どもたちにとっては探検心をくすぐる場所となり、隠れ家のように楽しむことができます。
また、天井が低くなったスペースを作ることで、まるで秘密の部屋のように感じられるでしょう。大人にとっても、こうした独特の空間はノスタルジックな気分を呼び起こし、心地よいリラックス空間を提供します。さらに、友人を招いた際には、他にはないデザインが話題を呼び、褒められることも多いです。スキップフロアは、個性的でおしゃれな家を実現するための素晴らしい選択肢です。
平屋でスキップフロアにするデメリット
ここでは平屋でスキップフロアにするデメリットを4つ紹介します。
建築費用が高くなる可能性がある
スキップフロアを取り入れると、建築費用が高くなる可能性があります。これは、通常の平屋建築に加えて階段や新たな床を設置する必要があるためです。例えば、リビングとダイニングをスキップフロアで分ける場合、そのための構造的な工事や材料が必要になり、結果的に人件費や材料費が増加します。
また、スキップフロアによって新たに設けられた空間は床面積としてカウントされるため、全体の床面積が増え、固定資産税も上乗せされることになります。このように、スキップフロアは利便性を高める一方で、コスト面でのデメリットを考慮する必要があります。
空調効率が悪くなる可能性がある
スキップフロアの平屋は、仕切りのない広々とした空間が魅力ですが、空調効率が悪くなる可能性があります。空間が一体化しているため、エアコンや暖房器具の効果が全体に行き渡りにくく、特に夏の暑い日や冬の寒い日には、温度管理が難しくなることが多いです。
例えば、リビングから寝室までの距離がある場合、寝室が十分に冷えない、または暖まらないことがあります。
さらに、スキップフロアの特性上、段差があることで空調が効くまでに時間がかかります。このため、大きな空調設備が必要になる場合があり、結果的に光熱費が上昇することも考慮すべきです。特に、高断熱住宅でない場合、外気温の影響を受けやすく、快適な室温を維持するためには、頻繁にエアコンを稼働させる必要があります。
全館空調システムを導入することで、空調のムラを軽減することは可能ですが、空調機器により、初期投資が高くなる可能性もあるため、留意が必要です。
音やニオイが広がりやすくなる
スキップフロアは、開放的な空間を実現する一方で、音やニオイが広がりやすいというデメリットがあります。
例えば、リビングで家族がテレビを見ていると、その音が上のスキップフロアにいる人にも届いてしまうため、集中したいときに気が散ることがあります。また、キッチンで料理をしていると、料理の香りや煙が上のフロアに移ってしまうこともあります。
特に、ダイニングスペースの上にスキップフロアがある場合、食事のニオイが広がりやすく、居住空間全体の快適さに影響を与えることがあります。このような音やニオイの広がりを気にする方は、第一種換気方式を採用することで、室内の空気を計画的に入れ替え、快適な環境を保つことができます。
段差が増えるため、バリアフリーを考慮する必要がある
スキップフロアを設計する際には、頻繁に利用する場所には段差を設けない方が良いでしょう。例えば、家事を行うキッチンや洗濯物を干す場所に段差があると、作業効率が悪くなります。
また、スキップフロアにはデザイン性や機能性がある反面、段差が多くなるためバリアフリーを考慮する必要があります。また、構造や施工費が通常の平屋よりも高くなる場合があるので、予算計画も重要です。
サブ的な空間、例えば書斎やお子さんの遊び場にスキップフロアを配置することで、段差の影響を軽減することができます。こうした点を考慮し、将来のライフスタイルに合った間取りを検討することが重要です。
平屋のスキップフロアの活用アイデア
スキップフロアには収納スペースをはじめ、さまざまな活用方法があると紹介しました。ここでは、活用方法の具体例をいくつか紹介します。
併せてスキップフロア(中二階)を平屋に取り入れた間取り例についてもご覧ください。
子ども部屋として
子どもが小さい頃は、スキップフロアを子どもの遊び場、学習スペースに活用するケースが多く見られます。親の目が届きやすく、家事をしながらでもコミュニケーションがとれるスキップフロアでは、子どもも安心して過ごせるでしょう。
ある程度の年齢になると子どももプライベートな空間を欲しがるので、子ども部屋は別に確保しておくのがおすすめです。とはいえ、平屋は2階建てほどの床面積を確保できません。子どもの人数分の個室を作れない場合は、広い部屋を作っておいて、可動式の間仕切りで部屋を区切るという方法も検討してみてはいかがでしょうか。各居室もスキップフロアも使いまわせるような設計にしておくと、ライフスタイルの変化に対応できるので便利です。
テレワーク・リモートワークや書斎スペースとして
ロフトと違い、スキップフロアには天井高の制限がありません。背の高い本棚を置くこともできるので、書斎として活用できます。絵画や手芸など趣味を楽しむスペースにもできますし、テレワーク・リモートワークのスペースにするのもおすすめです。
ただし、壁がないオープンスペースなので、テレビの音や家族の話し声が気になって集中しにくいということもあります。オンラインで打ち合わせをする場合には、相手側に音が流れないような配慮も必要です。仕事メインで使う前提でスキップフロアを作る場合は、リビングや子ども部屋から離して設置するなどの工夫がいるかもしれません。
セカンドリビングとして
セカンドリビングとして、広いリビングに小上がり風のスキップフロアを設けるケースもあります。近年はフローリングのみの家が増えていますが、和室の魅力も捨てがたいものです。畳仕様のスキップフロアは、ゴロリと横になってからだを伸ばすのに最適です。家族のリラックスルームにもなりますし、来客を泊める部屋としても使えます。
また、スキップフロアをピアノコーナーとして使用するケースもあります。リビングに置くのではなく、あえて段差をつけた場所にピアノを置くことでエレガントな印象が強調されます。2~3段の小さな階段をしずしずと上ってピアノ演奏なんて、ちょっとしたステージのようでステキ!といったように、ピアノを習っている子どももより楽しんでレッスンに励むかもしれません。
大きな窓と吹き抜けが格別な開放感へと誘うスキップフロアのある平屋の建築実例
ご結婚後、賃貸アパートにお住まいだったオーナー様。冬の寒さが気になり、「快適な家に住みたい」と思われたのが住まいづくりのきっかけでした。
消費税増税前というタイミングも見計らいながら、休日は住宅展示場に通われ、さまざまなモデルハウスをご見学。そんな中、トヨタホームの「理想の平屋」のパンフレットをご覧になり、そのデザインや、2階への移動がなくラクで安心な点に加え、さらに営業スタッフの対応に好感を抱かれたことが決め手となりました。
LDKから少し上がったスキップフロアは奥様の趣味のお部屋で、まるで秘密基地のようなスペースです。足元を掘り込んだ、座って使えるカウンターと本棚があり、旅先での写真をパソコンで加工・編集したり飾ったりと、楽しんでいらっしゃいます。
「ここからテレビが観られる点も気に入っています。将来は、子どもが遊んだり宿題をする場所にしたいですね。キッチンから目が届く位置なので安心です」と奥様。ワクワクできる空間に大満足されています。
大きな窓と吹き抜けが格別な開放感へと誘うスキップフロアのある平屋の建築実例
スキップフロアを取り入れる際の注意点
スキップフロアはやや特殊な設計になるため、通常の平屋よりも建築費用がかかります。建ててから後悔しないよう、細部までしっかりと検討することが重要です。収納メインなのか居室として利用するのかによっても、考え方が違ってきます。家の中のどこに設置するのか、どのくらいの高さにするのか、実際の暮らしを具体的にイメージしながら考えてみてください。
もし収納メインで考えているなら、スキップフロアではなくロフトを選ぶのもよいかもしれません。先述のとおり、ロフトは床面積に含まれないため固定資産税を節約できます。その場合、ロフトとみなされる設計かどうかを事前に確認する必要があるので、ハウスメーカーに相談するようにしましょう。
ただ「おしゃれだから」という理由でスキップフロアを選ぶと、使いにくく住みにくい家になってしまうかもしれません。縦を意識した空間設計なので、設計者や施工業者にも高い技術が求められます。そのため、ハウスメーカーを選ぶ際には「平屋+スキップフロア」の施工実績を必ずチェックするようにしてください。実績豊富なハウスメーカーなら、空調管理や音などのスキップフロアのデメリットを解消しつつ、より住みやすい間取りを提案してくれるでしょう。
※費用に関する情報は2022年9月時点の情報ですので、詳しくはお近くのトヨタホーム展示場スタッフにお問い合わせ下さい。
新しい時代にマッチしたトヨタホームの平屋!スキップフロアで快適な暮らしを手に入れよう
「限られた空間をいかに快適かつ安全な場所にするか」を追求する点で、クルマづくりと家づくりは似ているといえるでしょう。トヨタホームでは自動車メーカーで培ったノウハウを家づくりにも応用し、独自の工法で自由度の高い設計が可能です。平屋では横に広げる平面設定ではなく、空間全体の有効活用を提案しています。
スキップフロアの実績も豊富で、オープンタイプだけでなく、仕事部屋やプライベートルームに最適なクローズタイプもライフスタイルに合わせて選べます。詳しくはカタログでご確認ください。
【全国のトヨタホーム展示場を探す】https://www.toyotahome.co.jp/kyoten/?ad_cd=hometag
【カタログ請求はこちら】https://www.toyotahome.co.jp/s/catalog/list/?ad_cd=hometag
スキップフロアのある平屋に関するよくある質問
平屋のスキップフロアとは?
平屋のスキップフロアとは、単層の住宅でありながら、内部に段差を設けて異なる高さのフロアを持つ設計のことを指します。このデザインは、視覚的な広がりを生み出し、空間に変化を与えることで、平屋でありながら立体的な空間を楽しむことができます。
スキップフロアを取り入れることで、家族のプライベート空間と共有スペースをうまく分けることができ、生活動線の工夫や収納スペースの確保にも役立ちます。また、土地の高低差を活かした設計が可能で、敷地条件に応じた柔軟なプランニングが魅力です。
平屋のスキップフロアの固定資産税はどうなる?
平屋のスキップフロアにおける固定資産税は、建物の評価額に基づいて決定されます。スキップフロアは、建物の内部に段差を設けて空間を有効活用する設計ですが、固定資産税の評価においては、延床面積や建物の構造、使用材料などが考慮されます。
スキップフロア自体が評価額に直接影響を与えるわけではありませんが、建物全体のデザインや仕様が評価額に反映されるため、結果的に税額に影響を与える可能性があります。具体的な税額は、自治体の評価基準や建物の詳細によって異なるため、専門家に相談することをお勧めします。
スキップフロアの欠点は何ですか?
スキップフロアの設計は、空間を有効活用し、視覚的な広がりを持たせることができる一方で、いくつかの欠点も存在します。まず、段差が多いため、バリアフリーの観点からは不向きです。特に高齢者や小さな子どもがいる家庭では、安全面での配慮が必要です。
また、スキップフロアは一般的なフラットな床面に比べて施工が複雑になるため、建築コストが高くなる傾向があります。さらに、空間が分断されるため、冷暖房の効率が悪くなることもあり、エネルギーコストが増加する可能性があります。