狭小住宅とは2階建て、3階建て、平屋建てといった決まりはなく、一般的に敷地面積が15坪以下の土地に建てられる住宅全般のことです。土地代が高い都心部で多く建てられており、駅近など好条件であるケースも多いものの、土地が狭いため床面積を確保する工夫が必要です。
そこでこの記事では、狭小住宅で「狭さ」を感じさせない間取りアイデアをまとめて紹介します。工夫次第で狭さを感じにくくなるので、開放感のある狭小住宅に暮らしたい人は参考にしてください。
そもそも「狭小住宅」とは?
狭小住宅とは、その名の通り「狭くて小さい」土地に建つ家のことです。明確な定義はないものの、一般的に15坪以下の土地に建てられた家を指し、2階建て、3階建て、平屋建てなどの決まりはありません。
また狭小土地は三角形や台型、旗竿型といった変形地が多い傾向にあり、十分な床面積を確保するために、3階建てにしたり半地下を設けたりするケースも多く見られます。ちなみに狭い土地で3階建てにすると、見た目が細長くなることから「ペンシルハウス」とも呼ばれています。
狭小住宅の3つのメリット
「狭くて小さい」と思われがちな狭小住宅ですが、実は「狭くて小さい」がメリットとなるキーワードです。ここでは主に、3つのメリットを解説します。
利便性のいい土地で建てられる
狭小住宅は地価の高いエリアで多く見られ、立地環境に恵まれている傾向にあります。特に駅近の市街地では、敷地面積の小さい狭小土地が多く売られています。その理由のひとつとして挙げられるのが、都市開発の影響です。
新しく道路ができたり、商業施設ができたりするときに周辺地域の対象となる土地は買収されます。開発に必要な部分だけを買い取るので、土地の所有者にとって使い勝手の悪い半端な土地が残ってしまうケースが少なくありません。そのため狭小土地として売り出すという構図です。周辺は都市開発されているため、利便性が高い土地であることが大半です。
また利便性の高さに加えて、敷地面積が小さいため取得費用が抑えられるメリットがあります。しかも、変形地であれば住宅の建築に制限があるため、買い手が付きにくいことを理由に値下げ販売される期待もあります。
※費用に関する情報は2022年10月時点の情報ですので、詳しくはお近くのトヨタホーム展示場スタッフにお問い合わせ下さい。
固定資産税や修繕費などの維持費が抑えられる
そもそもの土地面積が小さいため、固定資産税や都市計画税といった税金が安くなるのも狭小住宅のメリットです。狭小住宅は「小規模住宅用地」の要件が適用されることもあり、適用されれば、固定資産税は評価額の6分の1に、都市計画税は3分の1にそれぞれ軽減されます。また相続税は課税価格の50%、または80%が減額されます。
しかも家自体がコンパクトでメンテナンスする外壁や屋根の面積が少なく、修繕費も一般的な住宅に比べて安く抑えることが可能です。さらにコンパクトがゆえに、光熱費も安く済みます。
※費用に関する情報は2022年10月時点の情報ですので、詳しくはお近くのトヨタホーム展示場スタッフにお問い合わせ下さい。
家自体がコンパクトで掃除の時間が短縮される
狭小住宅はメンテナンスだけではなく、床面積が少ないため日々の掃除も短縮できます。3階建て狭小住宅は階段部分が多くなるものの、部屋数が少なく、間取りもコンパクトにまとまっているため広い家に比べると掃除も楽です。掃除が楽になると、こまめに掃除ができて家もきれいな状態をキープしやすくなり、満足度の高い生活が実現します。
狭小住宅の3つのデメリット
狭小住宅は「狭くて小さい」以外に、どんなデメリットがあるのでしょうか。3つのデメリットについて見ていきましょう。
近隣住宅の生活音が聞こえてくることも
狭小住宅は住宅密集地に建てられているケースが多く、隣家との距離が近くなりがちです。そのため隣家の生活音や話し声、笑い声、子どもの泣き声、なかにはトイレを流す音まで聞こえるというケースもあります。
最初は気にならなかったとしても、日常的に隣家の生活音が聞こえてくればストレスに感じる人もいるでしょう。また隣家の生活音が聞こえてくるということは、こちらの生活音も聞こえている可能性があります。設計時は、周辺環境を考慮して窓の位置をずらすなどの対策が必要です。
日当たりや風通しが悪いことも
狭小住宅は周囲を3階建ての家やビルで囲まれているケースも多く、日当たりや風通しが悪いことも想定されます。また周囲に高い建物がなくても、隣家との距離が近いため窓があっても採光は期待できません。設計時に採光や通風に関しては、しっかり考慮しておく必要があります。
3階建てだと生活動線が縦に伸びてしまう
狭小地に家を建てる場合、3階建てにして床面積を増やす方法が一般的です。しかしその場合、階段が多く縦に長い生活動線になってしまい、不便に感じてしまうかもしれません。
特に高齢になるにつれて、階段の上り下りが多い生活は次第に負担を感じやすくなるでしょう。しかも踏み外したり滑ったりしてケガにつながるリスクもあります。老後の暮らしを見据え、住み替えやホームエレベーターの設置などの検討も必要です。
“狭さ”を感じさせない狭小住宅の間取りアイデア集
ここからは狭小住宅の「狭さ」を感じさせない間取りアイデアをまとめて紹介します。
スキップフロアを作る
スキップフロアとは、一つの階層に段差をつけてスペースを作る構造のことで、いわゆる、1.5階や2.5階という間取りです。構造的にはワンフロアでつながっているものの、半階層ずらして中階層をつくることで段差が生まれ、エリア分けが可能となります。
壁や間仕切りを使わずに縦方向で緩やかにつながるため、空間に連続性が生まれ、広く感じられるのが特徴です。また単調になりがちな室内に縦の変化を設けることで空間にメリハリができ、おしゃれな雰囲気を演出できます。
ロフトで生活空間を広げる
ロフトとは「屋根裏部屋」のことです。一般的に、居室の上層と屋根の下に設置する小部屋を指します。収納スペースはもちろん、寝室や子どものプレイスペースとしても使えるため、生活空間が広がる点がメリットです。
ロフトを作るには条件があり、天井高を1.4m以下、床面積を直下の階の2分の1未満収める必要がありますが、その条件を満たすと居室とはみなされません。つまり延べ床面積に算入されず、固定資産税の適用外となります。ただし自治体によっては条件が異なるため、その点はハウスメーカーにしっかり確認しましょう。
トップライトやハイサイドライトを取り入れる
トップライトとは天窓のことで、建物の屋根に取付けられた窓を指します。ハイサイドライトとは高窓のことで、天井に近い場所に設置する窓です。いずれの窓も、高い位置に設置することで室内に柔らかい光を取り入れられます。
家自体が明るくなると開放感が生まれ、広く感じやすくなる効果を期待できます。トップライトやハイサイドライトを設ける場合は、吹き抜けも一緒に作ればより家全体に光が届きやすくなるのでおすすめです。
アウトサイドリビングで外とのつながりを意識する
アウトサイドリビングとは、リビングテラスとも呼ばれ、テラスとリビングが一体化した多目的スペースを指します。
リビングに大開口窓を設置してテラスにつなげることで家と外がつながり、視覚的に広く感じられるのがメリットです。狭小住宅の場合、2階にアウトサイドリビングを設置すると、プライバシーを守れると同時に日当たりや風通しの良さも期待できます。
デッドスペースを上手に活用する
狭小住宅では、デッドスペースを上手に活用することで広さを確保できます。たとえば、階段下スペースを収納棚やトイレなどに活用するのはよくある方法です。階段下に収納棚を設ける場合、床下収納と組み合わせると収納力がアップします。
また仕切りが多いと圧迫感が生まれやすいため、階段下に扉を設けない作りにするのもおすすめです。たとえば階段下を開放して見せる収納にしたり、書斎や子どものプレイスペースとして活用したりする方法もあります。
間取り決めの際は、廊下をできるだけ減らすのも有効です。廊下は各部屋をつなげる役割があるものの、その分だけ床面積を消耗します。十分な居室スペースを確保するためにも、設計時点で廊下をなくすことも検討しましょう。
狭小住宅の間取り決めをする際の注意点
狭小住宅の間取り決めをする際に、忘れがちな2つのポイントを解説します。
駐車スペースの確保
狭小土地に目一杯家を建てると「駐車スペースをどうするか?」といった問題が発生します。利便性が高いエリアなら、あえて自家用車を持たないという選択もあるものの、やはり自家用車がないと不便さを感じる家庭も多いでしょう。敷地内に車庫を設けないなら、近所に月極駐車場を借りるという方法もありますが、毎月の駐車場代がかかるうえ、駅近であれば駐車場代はかなり高額になる可能性もあります。
一方で、最近人気なのが住宅1階部分にビルトインガレージを設ける間取りです。ビルトインガレージは、シャッターなどを設置したクローズドタイプの車庫で、駐車スペースだけでなく、子どもの遊び場や趣味のスペースとしても使えるため人気があります。また家の中に常に愛車があるので、いつでも目が届き安心感があるのもメリットです。
建物の耐震性
木造3階建て狭小住宅の場合、縦に細長くなるため耐震性もしっかり考慮しましょう。ただし、木造3階建ては確認申請の際に「構造計算書」を添付して確認申請しなければならず、別途費用が発生します。
特にビルトインガレージのように、建物の間口に開口部を大きく設けてある建物は耐震性にやや不安が残ります。そのため、ビルトインガレージを間取りに組み込むなら、耐震性の観点から木造ではなく鉄骨のほうがおすすめです。
※耐震性に関する情報は2022年10月時点の情報ですので、詳しくはお近くのトヨタホーム展示場スタッフにお問い合わせ下さい。
トヨタホームの鉄骨ラーメン構造なら耐震性の高い3階建て狭小住宅が手に入る!
3階建て狭小住宅は縦に細長くなるため、耐震性についても重視したいところです。特にビルトインガレージのような駐車スペースを1階部分に設けるなら、鉄骨構造のほうが安心感を高められます。
そこでおすすめなのが、トヨタホームの「鉄骨ラーメン構造」です。トヨタホームの鉄骨ラーメン構造は、業界トップクラスの太い柱と強い梁を採用し、耐久性と耐震性に優れています。また設計の自由度が高く、都市の狭小地でも空間を有効活用できます。実際にトヨタホームの構造について知りたい方はカタログ請求、もしくは展示場に出かけてみましょう。
※耐震性に関する情報は2022年10月時点の情報ですので、詳しくはお近くのトヨタホーム展示場スタッフにお問い合わせ下さい。
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狭小住宅の間取りに関するよくある質問
狭小住宅を選ぶ理由は?
狭小住宅を購入する理由はいくつかあります。まず、都心部での土地価格が高騰しているため、手頃な価格で土地を手に入れるために狭小住宅を選ぶ人が多いです。また、狭小住宅はその小さなスペースを最大限に活用するために、設計や間取りに工夫が凝らされています。これにより、一見狭く見えても快適な生活空間を実現しています。さらに、狭小住宅はメンテナンスが容易で、掃除や整理整頓もしやすいというメリットもあります。これらの理由から、狭小住宅を選ぶ人が増えています。
狭小住宅にはどんなデメリットがありますか?
狭小住宅には以下のようなデメリットが考えられます。
1.スペースの制限:狭小住宅はその名の通り、スペースが限られています。そのため、家具の配置や収納スペースに制限が出てくることがあります。
2.プライバシーの問題:部屋数が少ない場合、家族間のプライバシーが確保しにくいことがあります。
3.拡張の難しさ:将来的に家族構成が変わった場合や、生活スタイルが変わった場合に、住宅の拡張が難しいというデメリットもあります。
ただし、これらのデメリットは設計や工夫次第で克服可能なものも多いです。例えば、収納スペースを工夫して増やしたり、間取りを工夫してプライバシーを確保したりすることが可能です。また、狭小住宅はそのコンパクトさからエネルギー効率が良いというメリットもあります。
狭小住宅はどれくらいの広さからですか?
狭小住宅とは、一般的には敷地面積が50平方メートル以下の住宅を指します。しかし、この定義はあくまで一般的なものであり、地域や建築会社によっては異なる場合もあります。また、敷地面積だけでなく、建物の形状や間取り、設計の工夫なども狭小住宅の特徴として挙げられます。狭小住宅は、限られたスペースを最大限に活用するための工夫が凝らされており、その設計や機能性には高い専門知識が求められます。