都市部の住宅事情でよく耳にする「狭小住宅」とは、土地の条件が敷地面積15坪程度に限られた家のことを指しています。狭小住宅では、どうしてもワンフロアが狭くなりがちです。その分、居住スペースを増やすための工夫としては3階建てにしたり、地下をつくったりすることが多いでしょう。一方でスペースを増やすだけではなく、間取りを工夫して住みやすく快適な家にすることも重要です。
そこでこの記事では、15坪の狭小住宅を建てる人に向けて、建てる際の注意点を解説します。間取り実例も合わせて紹介するので、実例を見ながらどんな家にしたいのかイメージを膨らませてみましょう。
「15坪」って実際どのくらいの広さになる?
家づくりを検討していると、「坪」単価での表示をよく目にするかもしれません。しかし日常生活では「坪」という単位を使うシーンがほとんどないため、15坪といわれても「広さがいまいちピンとこない」と感じる人は多いでしょう。
「平方メートル」ならば、「坪」よりもいくらか馴染みがあるかもしれません。平方メートルは「平米(へいべい)」と呼ばれることもあります。辺の長さが「11メートル×1メートル」となる正方形の面積のことを、1平方メートルあるいは1平米と呼びます。
家や土地、部屋の広さを表す単位としては、「坪」「平方メートル(平米)」、あるいは畳の枚数で広さを表す「畳(じょう)」などが一般的です。1坪は約3.31平方メートルで、畳数だと約2畳に該当します。
15坪を平方メートル単位に換算すると、49.59平方メートルです。これは畳数だとおおよそ30畳くらいの広さになります。
15坪の土地を選ぶ際の注意点
15坪の土地を選ぶ際は、建てられる家の大きさに注意しましょう。土地にはそれぞれ「用途地域」の制限があります。つまり利用可能な用途が法的に定められており、こうした法律のなかで建てられる家の大きさに関わるのが「建ぺい率」と「容積率」です。
建ぺい率とは、敷地面積に対する建築面積(建物を真上から見たときの面積)の割合のことです。また容積率とは、敷地面積に対する延べ床面積(各階の床面積の合計)の割合のことを指しています。
同じ敷地面積15坪(約50平方メートル)の土地でも、建ぺい率50%の土地の場合、建築面積の上限は7.5坪です。一方、建ぺい率80%の土地であれば、建築面積の上限は12坪と大幅に広がります。このように建てられる家のサイズは、その土地の建ぺい率によって全く異なるのです。
一方、容積率は延べ床面積上限、すなわち各フロアの床面積の合計に関わる数字です。敷地面積15坪の土地で容積率が100%であれば、延べ床面積上限は15坪になります。容積率200%だと、延べ床面積上限は30坪です。
したがって敷地面積15坪の土地で建ぺい率80%、容積率200%だと、1フロア10坪の3階建てが建築できる計算になります。このように、建ぺい率と容積率で建てられる家の大きさが変わるため、15坪の土地を選ぶ際は両者の数値をしっかりチェックしておくことが大切です。
敷地面積15坪の土地ではどんな間取りができる?
敷地面積15坪の土地では、具体的にどんな間取りができるのでしょうか?ここでは実際の間取りを用いて、15坪の土地ではどんな家が建てられるのかを詳しく紹介します。
【37.1坪】ダイニングキッチンに吹き抜けのある間取り
【37.1坪】ダイニングキッチンに吹き抜けのある間取りの間取り詳細はこちら
こちらは延べ床面積122.70平方メートル(37.1坪)、3階建ての間取りです。土地は南北に長い狭小地で、南側からの採光をどう利用するかが間取りに大きく関わります。
狭小地の場合、1階は比較的採光がとりにくくなるため、水回りに加え、夜間の利用が多い両親の寝室を配置しました。細長い間取りでも便利に動けるよう、中央部分に階段を設置し、2階の南側をリビングにして日当たりを確保しています。一方、2階北側のダイニングキッチンは3階までの吹き抜けをつくり、採光や広々とした視界を確保しました。
3階には子ども部屋を2つ、さらに吹き抜け周りに書斎を作り、スペースを有効活用しています。吹き抜けを作ると床面積が減ると考える方も多いのですが、工夫次第で採光と居住スペースを双方十分に確保できる間取りが実現可能です。
【35.0坪】各フロアの書斎やデスクスペースがある間取り
【35.0坪】各フロアの書斎やデスクスペースがある間取り詳細はこちら
延べ床面積115.62平方メートル(35.0坪)、3階建ての間取りです。土地は東西に長い狭小地ですが16.5畳の広いLDKを1階に配置し、さらにLDKには3階まで続く大きな吹き抜けを作って開放的な空間を実現しました。LDKの一角にデスクスペースを設置することで、リビング学習やちょっとした作業にもすぐに対応できます。採光のとりにくい1階の北東側は、水回りとしました。
子ども部屋は2階に2つ、3階に1つあり、3階にはさらにデスクスペースをプラスした主寝室を構えています。延べ床面積35坪でも4LDKを確保した、家族5人でゆったり広々と暮らせる間取りです。各フロアにデスクスペースが確保されているため、共働きかつテレワークのある夫婦にぴったりでしょう。
【37.3坪】スペースを有効活用した間取り
延べ床面積123.19平方メートル(37.3坪)、3階建てのお宅です。1階に両親の主寝室と水回り、2階にはリビングとダイニングキッチンを配置しました。階段をフロア中央に設置することで、食事をするダイニングキッチンとゆったり過ごすリビングを別空間として分割しています。
3階には子ども部屋が2つ、さらにランドリールームと広々としたバルコニーが配置されています。スペースを有効活用し、眺望のよい3階建てのメリットを最大限に生かした、家族4人におすすめの間取りです。
15坪の土地に狭小住宅を建てる際の注意点
先ほども触れたとおり、敷地面積15坪の土地に家を建てる場合、居住スペースは3階建てにする等の方法で、縦方向に確保する必要があります。家は必然的に縦に細長くなるため、狭小住宅を建てる際には「生活動線」と「耐震性」の2つをしっかり考慮するのがポイントです。
家事動線や生活動線に工夫を施す
3階建てにすると階段の上り下りが多くなり、年齢を重ねるにつれて億劫になるケースが多くみられます。そのため狭小住宅を建てる際は、家事動線や生活動線について工夫を施すことが大切です。
例えば1階に水回りがあり、3階にバルコニーがあると、洗濯物を持って1階から3階に移動しなければなりません。さらに1階に収納があると、3階で取り込んだ洗濯物をわざわざ1階まで持って行く作業も発生します。こういった動作をできるだけコンパクトにまとめると、生活の快適さがグンとアップするでしょう。
建物の耐震性を確保する
3階建ては細長い形状になることから、「ペンシルハウス」と呼ばれることもあります。これは地震などの横揺れを感じやすくなるタイプの建物です。また3階建てで駐車スペースを確保するために、住宅の1階部分を駐車スペースにするインナーガレージを取り入れる場合、とくに耐震性の確保は重要になります。
狭小住宅でも耐震性を確保できる構造は、鉄骨構造などです。大開口窓や大きな吹き抜けを設置しやすいメリットもあるため、ぜひ検討してみましょう。
15坪程度の土地に狭小住宅を建てるなら実績のあるトヨタホームに相談しよう
15坪の土地に狭小住宅を建てる場合、住みやすく工夫された間取りにすることが重要です。ただし縦に長い構造になりやすい狭小住宅は、耐震性が確保しにくいデメリットもあります。
高い耐震性を確保しつつ住みやすい間取りを実現したいなら、トヨタホーム独自の鉄骨ラーメン構造がおすすめです。鉄骨ラーメン構造は鉄骨ユニットを接合してつくるしなやかな構造で、高層ビルにも採用される強度を誇ります。制約が多い「軸組構造」や「壁式構造」に比べて家づくりの自由度が高く、耐震性を確保しつつ、理想の間取りやデザインを実現しやすいのが魅力です。
狭小住宅の建築をお考えの方、耐震性の高い住宅に興味をお持ちの方は、お気軽にカタログをご請求いただくか、お近くの展示場までお越し下さい。豊富な実例をご用意して、お待ちしております。
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