新築住宅の半数以上が「ZEH」となる昨今、注文住宅を検討中の方でもZEHに適合する家を建てようと考えているかもしれません。しかし「狭小住宅では採光が厳しく、太陽光発電など創エネ基準がクリアできないからZEHは無理かも」と諦めている人もいるでしょう。そんなときは「ZEH Oriented(ゼッチ オリエンテッド)」の基準を満たすことで適用されるから安心してください!
この記事では、都市部で注文住宅を建てる人向けに「ZEH Oriented(ゼッチ オリエンテッド)」について詳しく解説するほか、ZEH Orientedで利用できる補助金制度についても紹介します。ただし、補助金制度によっては締め切られているものもあるため、最新の情報を確認してください(掲載の情報は2022年12月時点の内容です)。
まずは「ZEH(ゼッチ)」について押さえておこう
ZEHとは、Net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の略称です。家庭で使用するエネルギー量と再生可能エネルギーなどで創るエネルギー量の収支が、1年間でゼロまたはマイナスになる住宅のことです。
この建物の利用に伴い直接的に消費するエネルギー量は、省エネ基準で使われている「一次エネルギー消費量」という指標です。ちなみに一次エネルギーとは石油、石炭、天然ガスなど自然界から得られるエネルギーを指し、一次エネルギーの加工や変換によって作られる電気や都市ガス、ガスなどは二次エネルギーといいます。
住宅は二次エネルギーを使います。しかし電気や都市ガス、ガスなどは単位が異なるため、同じ基準で評価ができません。そこで単位が統一されている一次エネルギー消費量に換算して、住宅の総エネルギー消費量を求めています。総エネルギー消費量には、空調や照明、換気、給湯の設備機器の消費エネルギーが含まれ、家電や調理機器のエネルギー消費量は含まれません。
ZEHの基準
ZEH住宅として認定されるには、以下の4つを満たすことが必須です。
1.平成28年基準を満たした上で、高い断熱性能がある建築物であること(※外皮平均熱貫流率(UA値)を0.4〜0.6[W/㎡K]に収める)
2.太陽光発電設備などの再生可能エネルギーを除き、基準一次エネルギー消費量から20%以上のエネルギーを削減すること
3.太陽光発電設備などの再生可能エネルギーを導入すること
4.太陽光発電設備などの再生可能エネルギーを加えて、基準一次エネルギー消費量から100%以上のエネルギーを削減すること
ZEHでは、夏は涼しく冬は暖かい住宅を目指します。その指標として「外⽪平均熱貫流率(UA値)が」あり、ZEHでは0.4〜0.6[W/㎡K]以下という、比較的低い数値をクリアしなければなりません。
さらにZEHでは「エネルギーを効率的に使う住宅」であることが求められ、省エネ性能の高い空調や照明、換気、給湯の4つの設備を導入して、エネルギー消費量を大きく削減します。その際に「HEMS(ヘムス)」という、住宅の消費エネルギーと太陽光発電等で創るエネルギーを確認できるシステムが必要です。高気密・高断熱で、省エネと創エネを組み合わせて、年間の一次エネルギー消費量をおおむねゼロを目指します。
ZEH Oriented(ゼッチ オリエンテッド)とは?
ZEH Orientedとは、ZEHを目指した先進的な住宅を指し、「ゼロ・エネルギー・ハウス指向型住宅」とも呼ばれています。東京23区など都市部の狭小地では、太陽光発電などによる創エネが十分にできない場所も多くあり、ZEHの基準を満たすのは簡単ではありません。このような都市部狭小地に建築された住宅を対象にした仕組みが、ZEH Orientedです。
都市部狭小地とは、北側斜線制限の対象となる用途地域(第一種および第二種低層住居専用地域並びに、第一種および第二種中高層住居専用地域)等であって、敷地面積が85㎡未満である土地のことです。ただし住宅が平屋建ての場合は除きます。
ZEH Orientedの基準は以下の通りです。
1.ZEHの強化外皮基準
2.再生可能エネルギー等を除き、基準一次エネルギー消費量から 20%以上の一次エネルギー消費量削減
この2つを満たした住宅が、ZEH Orientedとなります。ZEHの基準を満たす断熱性・省エネ性を備えていれば、太陽光発電や蓄電池が無くてもZEHとして認定されます。
Nearly ZEH(ニアリー ゼッチ)との違い
ZEH Orientedは、2018年度から開始された制度です。それ以前は、狭小地に建てる場合は「Nearly ZEH(ニアリー ゼッチ)」に適合させる必要がありました。ZEHはエネルギー収支がゼロまたはマイナスになる一方、Nearly ZEHはエネルギー収支をゼロに近づけた住宅のことです。ちなみにNearlyとは、「ほぼ・ほとんど」を意味する言葉です。
またNearly ZEHでは、太陽光発電などによって創エネが十分行えない地域のみが対象となります。具体的には、寒冷地(地域区分1または2地域)、低日射地域(日射区分 が A1またはA2の地域)、多雪地域(垂直積雪量 100cm 以上)が該当します。
Nearly ZEHの要件は以下の通りです。
1.ZEH強化外皮基準(地域区分1~8地域の平成28年省エネルギー基準)を満たした上で、UA 値[W/m2K]を0.4〜0.6以下に抑える
2.再生可能エネルギー等を除き、基準一次エネルギー消費量から 20%以上の一次エネルギー消費量削減
3.再生可能エネルギーを導入(容量不問)
4.再生可能エネルギー等を加えて、基準一次エネルギー消費量から75%以上100%未満の一次エネルギー消費量削減
Nearly ZEHはZEH Orientedよりも要件が多く、4項目をすべて満たす必要があります。両者の大きな違いは、再生可能エネルギー導入の有無に加え、立地条件です。都市部の狭小地に建築される場合に限り「ZEH Oriented」となりますが、基本的な概念はZEHおよびNearly ZEHと並び、広義のZEHの概念に多く含まれています。
ZEH Orientedの補助金制度
ZEH OrientedはZEHに含まれるため、補助金制度が用意されています。主な補助金制度は、国土交通省の「こどもみらい住宅支援事業」「地域型住宅グリーン化事業」と環境省の「戸建住宅ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)化等支援事業」の3つです。
「こどもみらい住宅支援事業」は100万円/戸の補助金でしたが、予算が上限に達したため、受付を終了しています(2022年12月時点)。しかし「こどもみらい住宅支援事業」に続く補助事業として、2022年11月8日に新しい補助金制度「こどもエコすまい支援事業」が補正予算案として閣議決定されました。ZEH対象の補助金制度となっており、子育て世帯・若者夫婦世帯によるZEHレベルの高い省エネ性能を有する新築住宅の取得や、住宅の省エネ改修などに対して支援する仕組みです。
補助される金額は、ZEH住宅の新築で100万円/戸、リフォームの場合は最大60万円/戸となっています。工事契約と交付申請の期限はどちらも2023年12月31日ですが、予算がなくなり次第終了するため早い者勝ちです。
「地域型住宅グリーン化事業」は上限140万円/戸までの補助を受けられる補助金制度で、要件は以下の通りです。
1.主要構造が木造である
2.国土交通省の採択を受けた中小住宅生産者が建てた新築住宅である
3.住宅タイプに基づいた採択通知以降に着工する
4.地域材を積極的に使用する
「戸建住宅ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)化等支援事業」は定額55万円/戸の補助を受けられます。要件は以下の通りです。
1.ZEHの定義を満たしていること
2.ZEHビルダー/プランナーが設計、建築または改修・販売するZEH住宅であること
3.20%以上の一次エネルギー消費量削減
4.HEMSを導入していること
募集対象や補助要件などは、公募時期によって内容が変更となる場合があります。また応募期間が終わっている可能性もあるため、最新の情報を確認してください。
ZEHで補助金制度を利用するための注意点
ZEHの補助金の申請は、基本的にハウスメーカーへの依頼をおすすめします。なぜなら補助金制度によっては、指定されたハウスメーカーなどのZEHビルダーに依頼する必要があるからです。
補助金申請は、建物の着工を開始する前に申請しなければ対象になりません。そのため、ZEHを建てたいと検討した段階で、ハウスメーカーにしっかり相談しておくことが重要です。ZEHに長けているハウスメーカーなら、申請の手順などをしっかり踏まえた上で、補助金を活用した最善の家づくりの提案してくれるはずです。
ZEHはメリット多数!トヨタホームでよりエコな家を建てよう
ZEHにすることで光熱費が抑えられるのはもちろん、資産価値が高くなり、災害時にも強い家にできます。しかもZEH Orientedは太陽光発電や蓄電池が無くてもZEHとして認定され、ZEHにおける補助金制度を利用できるのもメリットです。都市部でエコな暮らしをしたいという人も満足度の高い家を手に入れられます。
トヨタホームが建てるゼロエネルギーハウスは、トヨタグループの技術を駆使してよりエコな暮らしが実現できます。エネルギーの消費をゼロにする省エネの住まい「ZEH」であることはもちろん、エネルギーの消費を抑え、快適な空気をつくる「スマート・エアーズ PLUS」、家とクルマをつなげて電気をやりくりできる「V2H」など、他にはない3つの先端テクノロジーで家づくりを行います。気になる方は、ぜひ展示場で新しい住まいの形を確認しましょう。
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